有名寿司屋の予約がとれるのは8年後!「なんと席が3席しかない」韓国人が日本で暮らして驚いた、日本の“のんびりした完璧主義”
韓国の「パリパリ」文化と、日本の行き過ぎた完璧主義
新しいことはとりあえず始めてみて、ひとたび始めたことは早く終わらせないと気が済まない韓国社会の情緒を「パリパリ〔早く早く〕文化」と言う。実際に韓国では、空港に到着した瞬間からスピードがケタ違いだ。ほかの国ではゆうに1時間はかかる入国手続きが15分で終わり、自動車は混雑する道路をアクロバットのように疾走する。出前を注文すれば30分以内にアツアツの料理が届き、オンラインのショッピングモールで朝注文した商品が夕方には玄関先まで配達されている。まるで「パリパリ」が、急激に変化する社会での成功の秘訣であるかのような様子は、徹底さを追求するあまりタイミングを逃す日本とは対照的だ。 韓日合同のインターネットサービス業者の開発者が聞かせてくれた話によると、仕事に対する時間感覚が韓日で違うせいで意見が対立することもあるという。あるとき、業務上のトラブルがあり、企画やマーケティングの部署と約束していた期日までにサービスの開発を終えられない、という事態になった。韓国の開発者たちは口を揃えて「不完全でもとりあえずサービスの運用を開始し、1つずつ修正していこう」と主張したが、日本の開発者たちは「ほかの部署に迷惑がかかっても、運用開始を遅らせるべきだ」という意見。さて、どちらの意見を採用すべきだろうか? 不完全でも運用を開始しようという韓国人開発者の主張は、業務への積極的な姿勢と瞬発力はすばらしいものの、欠陥のあるサービスを利用することになる消費者の立場からすると無責任だ。一方、完全に準備が整うまで運用開始を遅らせようという日本人開発者の主張は、完璧主義を追求する徹底した態度は称賛に値するが、業務上発生する効率の悪さも無視できない。 つまり、こちらが良い、あちらが正しいという問題ではなく、タイミングとディテールのどちらを選択するのか、という問題なのだ。 韓国の「パリパリ」精神と日本の行き過ぎた完璧主義、どちらにも長所、短所がある。とはいえ、やはり母国がもっと良い国になってほしいとの思いから、「パリパリ」文化による負の面を抱えている韓国社会にあえて苦言を呈したくなる。ソウル中心部を流れる清渓川を覆っていたコンクリートの撤去工事が2年で終わったという話を聞いた日本の知人は「20年かかったと言われても納得の工事が2年で終わったとは驚きだ」と舌を巻いた。その「驚くべきスピード」の結果、工事中に発見された貴重な文化財は毀損され、造景工事は散歩する人たちが眉をひそめるほどのやっつけ仕事だった。 実際、韓国社会が直面している多くの問題は、「パリパリ」を追求するあまり「テッチュンテッチュン」〔適当に、いい加減に、の意〕を正当化するようになったことに端を発しているのではないのか。 日本の時計はのんびりだと言う前に、韓国の時計が速すぎるのではないかと、振り返ってみる必要がある。
金 暻和,牧野 美加/Webオリジナル(外部転載)