「誰がそんな相撲取れって言ってるんだよ!」土俵に響く父の怒声 大相撲目指す小学生 元力士の父親 息子が相撲界の厳しさに耐えられるよう厳しさの裏に「優しい親心」
【窪田清盛さん】「大相撲に行きたいって言って。まあ、正直うれしい気持ちと『無理、無理』っていう気持ちの半々で。まあ、『やめとけ』って言いました。やっぱり厳しい世界だし」 「やるからにはもう、厳しくするよと。ちょっとでも情けないこと言ったら、もうやめろって。相撲いつやめてもいいよって。その代わりやめたら勉強しなきゃだめだって。自分の夢を叶えるために努力するか。結局、形が違っても何かで努力しないといけないんで」
■大相撲直伝の「ちゃんこ」で体作り
大相撲という目標ができてからは、メキメキと成長。大会でも結果を残せるようになったのです。 そのワケの一つは、体作り。大相撲直伝の父の手料理です。 【窪田清盛さん】「(相撲)部屋のちゃんこを再現している」 野菜も肉もふんだんに入った、塩ちゃんこ。 大好きだったお菓子やジュースをやめて、食生活を徹底的に見直しました。 相撲は食べることも稽古。満腹になってからでも、食べ続けてきました。 その甲斐あって、2年前には、40キロだった体重も、今では88キロまで増えました。 相撲に関してはストイックな悠希くんも、普通の小学生。姉と妹と一緒にゲームをする時は、楽しそうな笑顔を見せていました。 そして3年生の妹の前では、心優しいお兄ちゃん。そんな悠希くんは、小学校でも人気者です。
■“理想の相撲”を目指して 中学生相手に「全勝」
この日は月に1度の相撲教室での稽古。朝6時に起きて出発です。 父・清盛さんの運転で、片道1時間半かけて長浜市にある道場へ向かいます。 【窪田悠希くん】「横綱にもらったまわしです」 「気持ちがなんか、特別感というか」 今年の6月、伊勢ケ浜部屋の合宿稽古に参加した時に、横綱・照ノ富士にもらったまわし。 この日の稽古の相手は、中学生です。 【窪田清盛さん】「右の手、何してんだよ!」 土俵の外に寄り切り、 勝つには勝ったのですが…。 課題に掲げた「前に出て相手を押し切る」という理想の相撲を取れず、厳しい言葉が飛びました。 【窪田清盛さん】「誰がそんな相撲取れって言ってるんだよ!勝ち負けじゃねぇって言ってんだろ。それで勝てんのかよ?試合。自分の相撲がどういうのか言ってみろ。今、何してんだよ。まわし取りにいってるんじゃねぇか、突けよ!」 「悠希の立ち合いは上に立ってんだよ。上でこんなことして、効くわけない。ガツンと頭で当たって、手伸ばせよ」 清盛さんの“げき”が効いたのか、悠希くんは、立ち合いで強く当たって前へ出る“理想の相撲”ができるようになりました。 【窪田清盛さん】「いい相撲取れるじゃねえか。それだよ。忘れんなよ。今の良かったよ」 この日とった相撲は全部で10番。去年までは勝てなかった中学生相手に、全勝です。 しかし、1カ月ぶりの実践稽古ということもあり、体力が続きません。