特集「キャッチ」福岡市動物園に7年ぶりのゾウ「最初は全く無視」受け入れから全面公開まで「ゾウ班」の奮闘
新たな環境への適応は順調なように見えました。中でも、のちに「すい」と名付けられた12歳のメスのゾウは面倒見がよく、3歳の子ゾウと仲よく遊んでいました。しかし、そんな姿はもう見られなくなってしまいました。9月10日、「すい」が急死したのです。 ■白濱さん 「もう少し早く気づいてあげればよかった。1か月しかたっていないが、思い入れのある子だったので本当に残念。お客さんにも見てほしかった。」 それでも、ゾウに会えるのを楽しみに待っている人たちのため、歩みを止めるわけにはいきません。全面公開をおよそ1週間後に控えた10月下旬のことでした。 ■白濱さん 「ヨヨヨヨ。」 「ゾウ班」のリーダー、白濱さんが何やら大きな声を出します。この掛け声はゾウを呼ぶ時の号令です。今でこそ、遠くにいるゾウも白濱さんの声に反応しますが。 ■白濱さん 「最初はなかなか認識されていなかった。全く無視されているような感じ。」 ゾウは知能が高く、人間を識別できるとされます。その分、信頼関係を築くのには時間がかかるのです。 ■白濱さん 「おなか。グー。えらいね。」 この日、行われていたのはゾウに指示を聞いてもらうためのトレーニングです。飼育員が声をかけながら差し出した棒の先に、頭やお腹など体の部位をつけてもらいます。成功するとエサを与えます。このトレーニングは、ゾウの健康管理のためにも欠かせないといいます。 ■白濱さん 「左のおなかを寄せると左耳から採血ができるが、逆も教えてあげないと(左耳に)負担がかかってしまう。」
子ゾウとのトレーニングは順調な白濱さんですが、母親ゾウは白濱さんから離れていって、なかなかコミュニケーションがとれません。 ■白濱さん 「ああ、どこ行くの。」 「理解が進んでいなくて、寄せることができなかった。」 トレーニングにさらに時間が必要と判断し、全面公開は1か月延期されることなりました。白濱さんは来る日も来る日も考え続け、母親ゾウをじっくり観察する中で、トレーニングを行う場所をゾウが体を寄せやすい位置に変えることにしました。すると。 ■白濱さん 「よしおいで。頭、グー。おなか、おなかよ。耳触るよ。グー。」
11月30日、ついに全面公開の日を迎えました。 ■白濱さん 「やっと公開できるので、ちょっと緊張しています。3歳のわかばちゃんは、まだお母さんのおっぱいを飲んでいます。」 福岡市動物園にゾウのいる光景が7年ぶりに戻りました。 ■白濱さん 「4か月の間に12歳の子が亡くなって、それでもやっとこの日を迎えることができたので、忘れることのできない一日。3頭、健康にすくすくと飼育していけたら。」 福岡市動物園のシンボルとして長く愛される存在であるように。「ゾウ班」の奮闘は続きます。 ※FBS福岡放送めんたいワイド2024年12月26日午後5時すぎ放送