被爆ピアノ奏で合唱 津、所有者の矢川さんトークも 三重
【津】原爆投下の広島で焼け残ったピアノを演奏する「被爆ピアノコンサート~平和への祈り」(同コンサート実行委員会主催)が6日、三重県津市久居東鷹跡町の市久居アルスプラザときの風ホールであった。被爆ピアノを所有する被爆2世で調律師の矢川光則さん(72)=広島市安佐南区=のトークと、県内で活動するピアニストやコーラスグループの演奏があり、約150人(主催者発表)が聞き入った。 矢川さんは平成10年に被爆ピアノの調律を頼まれたことがきっかけで修復や管理をするようになり、同13年から全国からの依頼に応じ巡演をしている。今回は県内の経営者団体有志がつくる実行委員会が招き、津市では初めて開いた。 舞台には爆心地から約3キロの民家にあったアップライトピアノが置かれ、公演冒頭で矢川さんが登壇。「光沢もなくあちこち傷ついているのは79年前の原爆の猛烈な爆風で飛んできたものが当たった傷。217本のピアノ線のうち2本が切れて取り替えたが他の材料は変えず当時の音色が出ている。来年は被爆80年の節目。改めて平和の尊さを考えるきっかけになれば」と話した。
コンサートでは鈴鹿市出身の「ピアニストK」さんの演奏やコーラスグループと共演する「折り鶴」「ヒロシマのある国で」の合唱などがあり、来場者は静かに耳を傾けていた。