UBS、中国本土での自前のミューチュアルファンド事業延期-関係者
(ブルームバーグ): スイスの銀行UBSグループは中国本土で自前のミューチュアルファンド事業を構築する計画を延期する。高いコストがかかることや収益見通しに乏しいことが理由。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
中国ミューチュアルファンド業界での事業拡大のため、UBSはその代わり、昨年のクレディ・スイス救済合併を受けて既存の合弁事業に頼ることにする。非公開情報であることを理由に関係者は匿名で述べた。
100%子会社の運用会社を構築するには資金面で多額のコミットメントを要する一方、短期に利益を計上する可能性は引き続き低いと関係者は説明した。中国が2020年に外資出資規制を撤廃後、UBSは自前のファンドを検討していた。
UBSのメディア担当者はコメントを控えた。
計画先送りにより、UBSはウォール街の他の金融大手に比べ控えめなアプローチを取ることになる。他の各社は総額27兆元(約577兆円)もの市場でのシェア拡大に一層多くの資金やリソースを投じており、モルガン・スタンレーやJPモルガン・チェースはミューチュアルファンド合弁事業を100%子会社化したほか、ブラックロックやフィデリティ・インターナショナルは一から事業を構築した。
一方で、世界的な運用会社は中国の大手金融機関と競争して市場シェアを拡大する上で困難に直面しており、同国での収益性確保の必要性を強調している。UBSでは、クレディ・スイス合併を受けて機能や運営の統合も進めている。
UBSは既に、中国の国有投資持ち株会社、国家開発投資(SDIC)との合弁の49%を保有しているほか、中国工商銀行(ICBC)との合弁でクレディ・スイスが保有していた20%の持ち分を手中に収めている。UBSには法人顧客や富裕層顧客を対象にしたプライベートファンド・マネジメント事業がある。
UBSはICBCクレディ・スイス・アセット・マネジメントを事業拡大の足がかりとする。ICBCとの合弁は昨年12月末時点の運用資産額が1兆7000億元で、昨年の利益は19億元。SDICとの合弁は3486億元を運用し、3億4600万元の純利益を計上した。