グーグル「ピクセル」認定中古スマホを伊藤忠が販売 質担保も価格3割抑制でアップル対抗
伊藤忠商事グループで中古スマートフォンのオンライン販売を手掛けるBelong(ビロング、東京都港区)は26日、米グーグルのスマホ「Pixel(ピクセル)」シリーズの認定中古品の販売を開始すると発表した。認定中古品は純正部品を使って修理し、メーカーからのお墨付きを得た中古品。グーグルが認定中古品を国内で販売するのは初めてとなる。高機能化や円安で新品のスマホ価格が高騰する中、新品に準じた品質を担保しながら、新品より価格を3割抑えることで価格に敏感な消費者を呼び込み、認定中古品でも高値が続く米アップルの人気スマホ「iPhone(アイフォーン)」からの乗り換えを促す考えだ。 ■傷ある場合も純正部品で修理 認定中古品は画面がひび割れていたり、ケースに傷が入ったりしている端末を正規の純正部品で修理、バッテリーも新品に交換する。厳格な検査で、新品に準じた品質を確保するとともに、1年間の保証も付ける。 取り扱うのは、2021年に発売した「6」と「6Pro」、22年に発売した「6a」、23年発売の「7」「7Pro」の5機種。新品の販売価格と比較して3割前後安い価格で販売する。ビロングの井上大輔社長は「(認定中古スマホは通常の中古品に比べ)バリューアップして提供できる。価格も新品と中古品の中間になる意識づけでやっていく」と話す。 今回、グーグルが、伊藤忠子会社を通じて認定中古品の販売に乗り出す背景には、ライフサイクルを通じてスマホ価格を維持する狙いがある。アップルのアイフォーンはかつては標準モデルで10万円以下も多かったが、今は10万円超えが当たり前で、最上位機種に至っては20万円以上までに高騰した。アップルは、新品価格だけでなく、中古価格も維持することで、新品の値崩れを防ぐ戦略を打ち出しており、実際、他社に先駆けて認定中古品の販売を自社の通販サイトなどで開始した。新品に準じた品質を担保することで中古価格の値下がりを防ぎ、ライフサイクルを通じて高価格帯を維持する戦略を強化している。 グーグルもアップル同様の戦略を認定中古品を投じることで鮮明にするとみられる。グーグルが2018年に国内で初めて発売されたピクセルシリーズは、標準モデルが10万円程度だったものの、当時は端末割引などにより約5万円で入手することが可能となっていた。以降も、アイフォーンに対抗するため、割引を含め5万~10万円で手に入る中価格帯を維持してきた。ピクセルシリーズは、アイフォーンに比べ割安だったことに加え、グーグルの持つカメラ技術など機能も充実させたシリーズとしてじわりと人気を広げ、人気の高まりや円安進行とともに、日本での販売価格も上げてきている。実際、最新の標準モデルの「9」は10万円を超える水準までになった。グーグルでは、認定中古品を始めることで中古市場でも品質を保ち、ピクセルシリーズのブランド価値を維持することで、価格維持につなげる考え。