「ウィシュマさんの死を忘れない」改正入管法の施行迫る中 若い世代が映画上映会で訴える
動き始めたばかりの若者たち
実は「イベントの主催者団体はどういう名前ですか?」と聞いたんですが、まだ決まっていないそうです。上映会を主催した若者たちは、読書会をしている仲間がコアになって集まっていて、インスタグラムとX(旧ツイッター)で、「R4LM(リフォーム)BookClub Fukuoka」というアカウントを持っています。 先ほども登場したみなみさんと、中心メンバーのよしひとさんに聞きました。ともに福岡市の会社で働く30代です。 神戸:メンバーはどの世代が多いんですか? よしひとさん:20代とか30代ですね。 神戸:その世代の方々がいろんな活動するというのは、なかなか少ないですよね? よしひとさん:東京だったらまだいるんですけど、地方都市になるとかなり少なくて。自分たちがやる前、メインは多分60~70代で、多分40代中盤・後半ぐらいの人が若手で数人いる、くらいなのが多分福岡で自分に見えている光景だった。 神戸:何かやってみた方がいいと、皆さんはお考えになったわけですね。 みなみさん:1年くらい前、初めてアクションに参加させてもらう前も、何か自分も何か声を上げたいけどなかなかそういう場所がなくて、でもきっと思ってらっしゃる人はいるだろうなと思っていた中で、何かそういったアクションの場に出会えたので本当にありがたいなと思っています。 神戸:今日は、開催してみてどうでした? みなみさん:よかったです、本当に。皆さんに観ていただけて。交流会もすごく盛り上がっていて。ありがとうございます。
アクションを起こす若い人たちが増えることを
上映会には40人ぐらいが参加していました。感想を語り合う交流会もかなりにぎやかで、若者たちは初めて開いたイベントに手応えを感じたようです。 メンバーは、4か月連続でアクションしようと考えていて、4月には入管がある地区の公園で、各国のお茶を楽しむアクションの開催を考えています。5月には専門家と学習会ができないか、6月には路上を歩くマーチをやってみたい、と思っています。 さらに主催の中心になっているよしひとさんは、「反植民地映画祭みたいなことができないかな」とぼんやり考えていると話していました。在日の人々のこととか、イスラエルとパレスチナの関係、これも抑圧する側とされる側という形ですよね。抑圧されている立場の方を描いた映画を集めた上映会をしてもいいのかな、ということも考えているそうです。 「あまり政治のことに関わりたくない」という風潮もあって、若い人たちの運動は少ないですけど、福岡でもこんなふうに動き出している人も出てきています。 私は、国力の低下と若い人たちの意気消沈は関係しているような気がしていて、ものをちゃんと言う文化が若い人たちに広がっていくと、日本全体のためにもいいんじゃないかと思っています。ごく普通の人たちが声を上げ始めている姿を取材したのは、自分にとってもよかったと思いました。 ◎神戸金史(かんべ・かねぶみ) 1967年生まれ。毎日新聞に入社直後、雲仙噴火災害に遭遇。福岡、東京の社会部で勤務した後、2005年にRKBに転職。報道部長、ドキュメンタリーエグゼクティブプロデューサーなどを経て現職。近著に、ラジオ『SCRATCH差別と平成』やテレビ『イントレランスの時代』の制作過程を詳述した『ドキュメンタリーの現在 九州で足もとを掘る』(共著、石風社)がある。最新作は80分のドキュメンタリー映画『リリアンの揺りかご』で、3月30日午後2時、TBSドキュメンタリー映画祭・福岡会場で上映予定。