米THRの批評家が選ぶ2024年の映画ベスト10 パルムドール受賞作『ANORA アノーラ』ほか
7.『Flow』(ギンツ・ジルバロディス監督)
セリフなし・音楽のみで展開される唯一無二のアニメーション作品。洪水によって半分以上が水没した奇妙な世界で、主人公の猫がカピバラやラブラドールなどの動物たちと信頼を築いていく。困難な時を乗り越えるには、お互いが必要であることを思い出させてくれる魅力的な寓話だ。2025年3月14日公開。
8.『I’m Still Here』(ウォルター・サレス監督)
軍事政権下のブラジルで起きた衝撃の実話を描く本作は、夫が行方不明になり、48歳で法律の学位を取得し不屈の活動家となった女性エウニセの物語。エウニセの晩年は、同監督の出世作『セントラル・ステーション』で記憶に残る演技をみせたフェルナンダ・モンテネグロが演じており、より胸を熱くさせる。
9.『Nosferatu』(ロバート・エガース監督)
ドイツの名匠F・W・ムルナウによる『吸血鬼ノスフェラトゥ』(’22)をリメイクしたゴシックホラー。鮮やかなビジュアル、壮麗な美術、そしてビル・スカルスガルドら俳優陣の圧巻の演技をじっくり堪能できる。グロテスクで美しいラストカットに、あなたも息を吞むだろう。
10.『リアル・ペイン~心の旅~』(ジェシー・アイゼンバーグ監督)
亡くなった祖母の故郷を訪れるため、ニューヨークに住むデヴィッド(アイゼンバーグ)といとこのベンジー(キーラン・カルキン)がポーランドへと向かうロードムービー。奇妙なユーモアから大きな悲しみに至るまで、様々な状況を軽やかなタッチで巧みに描き、印象的な深みと成熟さを備えた作品だ。 選外佳作:『ベイビーガール』、『チャレンジャーズ』、『ダホメ』、『Emilia Pérez』、『悪は存在しない』、『人間の境界』、『Nickel Boys』、『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』、『聖なるイチジクの種』、『Small Things Like These』 ※本記事は英語の記事から抄訳・編集しました。