西武・森脇亮介 貴公子の進化
圧巻の投球を見せている。10月29日現在、42試合に登板して6勝1敗13ホールド1セーブ、防御率1.49。2年目の今季、勝利の方程式入りした森脇亮介の右腕はうなりを上げる。だが、まだ完成形ではない。進化を続け、真価を発揮する。 文=上岡真里江 写真=松田杏子、BBM 甘いマスクからこぼれる爽やかな笑顔、物腰の柔らかい口調など、「優しい」イメージでファンの間でも入団1年目から人気が高い森脇亮介。だが、2年目の今季、その印象は日に日に変わっていった。「優しい」「爽やか」といった“好青年”のベースに、「頼もしい」が加わり、精悍(せいかん)さが際立つようになったのである。変化の要因は「自信」にほかならない。 社会人のセガサミーからのプロ入りとあり、「即戦力として」を目標に掲げたルーキーイヤーの昨季、言葉どおり5月6日の楽天戦(メットライフ)で一軍デビューを果たし、29試合に登板。2勝1敗2ホールド、防御率4.94の成績を残したが、8月14日に登録抹消となり、優勝の瞬間を一軍で迎えることができなかった。大事な終盤戦で戦力に加われなかったこと、また、自身の持てる力の「3割ぐらいの状態だった」ことなど、悔しさの残るシーズンとなった。 しかし、今季はひと味違う。オープン戦から3試合無失点と結果を残し、順調さをアピール。開幕してからも、結果、内容とも充実した投球を続けて成長を証明すると、監督、首脳陣の評価も日に日に増していった。序盤こそ、大差がついた状況やビハインドでの登板が主だったが、しっかりと相手打者に向かい、四球の少ないテンポの良い投球を続け、徐々に僅差の場面や勝敗を分ける要所での起用が増えていった。9月からは、完全に勝利パターンの一角を担い、時にはセットアッパーを任されるほどの信頼を得ている。大きなプレッシャーの中で期待に応え続ける達成感、そして、好投するごとにチームメートたちや周囲からの信頼を得られていく喜びが、「自信」となってオーラを放っているのだ。 10月29日現在、42試合に登板し、6勝1敗13ホールド1セーブ、防御率1.49と、抜群の安定感を誇っているが、昨季の反省が大いに生かされているという。 ''「去年は、厳しいボールだけで打ち取ろうとしていたところがありました。でも、今年は考え方を変えて、・・・
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週刊ベースボール