【軍師に聞く】国民・榛葉賀津也氏、玉木雄一郎氏の不倫報道に愕然も「信じる力は負けない」/2
自民党が少数与党に陥るきっかけとなった衆院選をへて、今の政界で大きな存在感をみせるのが国民民主党だ。「年収103万円の壁」引き上げで「手取りを増やす」と訴え、国民の支持を集めた。党を率いる玉木雄一郎代表(55)は不倫報道で役職停止中だが、党への期待値は衰えない。日刊スポーツは今年の主役を支えた「軍師」に注目。玉木氏を陰に日向に支える榛葉賀津也幹事長(57)にインタビューし、激動の1年を振り返ってもらうとともに、さまざまな思いについて聞いた。【中山知子】 ◇ ◇ ◇ -玉木代表の不倫報道。面食らいましたか 榛葉氏 それは、がくぜんとしましたよ。プライベートな話ではありますが、党に与えたダメージは大きいです。党へのおしかりはもちろんありましたが、その何倍もの「このせいで政策実現をあきらめることは絶対にしないでほしい」との声が寄せられました。不思議なことに、1ポイントや2ポイントだったうちの支持率が上がり続け、ついに立憲民主党を超えるまでになりました。それほどに国民の皆さまが「ゾンビ税制打破」への政策実現に期待をしているのだと思います。代表の問題は残念でしたが、それ以上に党への期待と責任を感じています。 -12月6日の定例記者会見では、玉木代表が党の「一枚看板」だという報道内容にかみつきました 榛葉氏 一枚看板ですよ(笑い) -逆に、いろいろな人材がいることを打ち出す機会になったのではないですか 榛葉氏 そうなんです。「玉木看板」を今、ちょっと横にしまわないといけない。すると「古川(元久代表代行)看板」が出たり、政調会長の「浜口誠看板」が出てきたり。浅野哲(さとし)さん、舟山康江さんや伊藤孝恵さん…。(玉木氏以外の)人材がたくさんいるじゃないか、ってことが分かってもらえたと思います。玉木さんのスキャンダル報道の最中でも、支持率は下がるどころか、上がりました。玉木さんは反省して、初心にかえることです。玉木さん(の政治活動)も落選から始まっています。落選した時のくやしさや初当選した時の原点、4年前に国民民主党を立ち上げた時の原点に戻って、彼には被災地をはじめ全国行脚をしてほしいと思います。 -今も代表とは意見交換をしているのですか 榛葉氏 毎日です。しつこいくらい毎日、連絡を取り合っています(笑い) -榛葉幹事長の会見動画も大きな注目を集めています 榛葉氏 とんでもないです。普通にやっているだけです(笑い) -ご自身への反響の大きさをどう受け止めていますか 榛葉氏 駅や街とかで声を掛けられる回数は圧倒的に増えましたが、私は全然変わっていませんし、今までのままです。ただ1つ(以前と)違ったことといえば、玉木さんに出会ったことです。この男に政治生命をかけよう、と。何があっても玉木さんを支えようと。たぶん、我が国の国政政党の中で、トップを信じる力は、どの党の幹事長にも負けないつもりです。 -「趣味は玉木雄一郎」とおっしゃっています 榛葉氏 はい。趣味は玉木雄一郎です。 -代表は3カ月後に復帰されます 榛葉氏 ひな祭りのひな人形をしまった後に、「玉木人形」が出てきます。 -ご自身が国民民主党でトップを目指そうという思いはございますか 榛葉氏 そんなことしたら、おれ、勝っちゃうもん。冗談です(笑い)。まあ、「今はない」と言っておきます。玉木さんに安心されても困りますから(笑い)私は国民民主党の幹事長というよりも「番犬」です。大好きなこの党の仲間全員を守る「番犬」だと自負しています。 -飼育しているヤギの動画も人気です。「ケビン」は元気ですか 榛葉氏 元気です。ケビン、かわいいです。一昨日も世話をしてきました。昨日は帰れなかったので、近所のヤギ仲間方に世話をお願いして。いつもは朝5時半ごろから掃除とえさやりと、ブラッシングをしています。ヤギってね、永田町の人と違ってウソをつかないんですよ(笑い)。心が洗われます。ほんとうにいやされます。 -SNSでの発信は玉木代表に比べると少ないのではないでしょうか 榛葉氏 「切り取り職人さん」が私たちのためにやってくださっているんです。でも、玉木さんが立派なのは、「無」から始めたからね。「たまきチャンネル」って最初は、3人見た、4人見たの世界でした。(2019年の番組で)共産党の志位和夫先生とピアノを弾いた時には激怒しましたが(笑い)、玉木さんが種をまいて耕したもの。そのたまきチャンネルから「あ、榛葉さんという人がいるんだ」という流れですので。私の動画やSNSの人気は、玉木さんのおかげなんです。玉木さんは時々「幹事長の方が(動画回数が)回っているじゃないですか!」と冗談を言いますが、すべては玉木さんの努力のたまものです。 -2人の役割分担は変わらないのですね 榛葉氏 そうですね。よく私は「太陽と月」と言っています。太陽の玉木さんがサンサンと輝くから、ナンバー2の私がほんのり光る。月は太陽がないと光りません。夜働くのも、月。昼に働くのは玉木ですが、私は午後5時以降(笑い)です。玉木はペンを持ちますが、私はビール・ジョッキを持ちます。ただ、意外と物事が決まるのって「夜」なんですよ(笑い)。 (「3 理想の政治家は、あの人気宰相を支えた人物」に続く) ◆榛葉賀津也(しんば・かづや)1967年(昭42)4月25日、静岡県生まれ。米オタバイン大政治学部卒。菊川町議を経て、01年参院選で初当選。民主党政権で防衛副大臣、外務副大臣を歴任。20年9月から現職。地元の自宅で飼うヤギの世話をする様子の動画が話題に。参院静岡県選挙区。当選4回。