松尾潔、広島・長崎のイスラエルへの対応について「明暗がはっきりと出た」
ゆえに今回、長崎市がイスラエル大使を平和記念式典に招かなかったことに対して反対の意を唱えたんでしょう。G7、EUの代表などが一斉にボイコットするのを見ると「正しいとは何か」「正義とは何か」というのは本当に難しいなと思いますね。 この番組で、戦争についてだけでなく再三いろんな時に言ってきましたが、正義とか正しさというのは本当に見つけにくいのが人の世だなと痛感するんですね。ならば、まだ「公平かどうか、公正かどうか」言い換えれば「フェアかどうか」ということを基準にするのはどうだろうと提案しているんですね。 その軸で考えると、例えばロシアのウクライナへの侵攻というのはG7諸国も「あれはよくない。だけど、イスラエルのはまだ義がある」と言っていますが、公平かどうかということで言うとちょっとその見方も変わってくるんじゃないかなと思うんです。 つまり「ウクライナにNATOが足を進めたことによって、それに脅威を感じたロシア」という見方もできる中で「でもやっぱりロシアが悪い」というのであれば、イスラエルだって同じじゃないの? と僕は相似形に見えて仕方ないんですよね。 そう見ることが僕にとってはフェアに見えるから、今もマイクに向かってこういう話をしているわけです。大切なことは何かというと議論することですよね。日本にいるとキーウのことにしてもガザのことにしても、ちょっと距離が離れています。ましてや自分の身近にロシア人、ウクライナ人、パレスチナ人、イスラエル人の知り合いがいないと、遠くの出来事のような感じがしてしまうかもしれません。 ですが、わが事として手繰り寄せるような気持ち、そして分からないことがあったら、見過ごすことをせずに「これってなぜ起きているの?」と、自分よりその事情に明るそうな周りの人に聞いてみてほしいのです。 そういうことをしないと、気がついたときにはいろんなことが進行して、自分の家族、場合によっては自分自身が戦地に赴かないといけないような時がきてしまうかもしれません。それぐらいの緊張感を持つべきタイミングじゃないかなと思います。
RKB毎日放送