キューバのWBC代表サントスのロッテ入り報道の真偽とは?
キューバの地元メディアが、ロッテがWBCキューバ代表のロエル・サントス外野手(29)と獲得交渉を行っていると報道したことを受けて9日、ロッテの林球団本部長は、「交渉ごとについては一切、お答えできない」と、否定も肯定もしなかった。現在、ロッテの外国人はスタンリッジ、チェンの投手2人に、野手は新外国人のダフィー、パラデスの2人の4人体制。球団としては、今後のシーズンの展開を考えて、第5の外国人獲得の検討余地があり、投手、野手の両面で継続して調整は続けているという。 「リードオフマンタイプの可能性はゼロでない」と、林本部長。 「キューバに、おもしろい1番がいるのは知っていた」と、伊東監督も状況に応じて打席の中で走り打ちする器用な1番打者で打率.318を残したサントスをWBC期間中も気になっていたという。 開幕以来、ロッテは打線が大不振。2人の新外国人のダフィー(打率.154、2打点)、パラデス(打率.138、0打点)とも、まだ本塁打がなく、凡打を繰り返して伊東監督も頭を抱えている。 本来ならば、クリーンナップを打てる大砲タイプが欲しいが、ここ4試合1番を任されている加藤翔平も打率が1割に満たずに1番も固定できていない。そう考えるとロッテのサントス獲得報道にも納得がいくが、実は、ロッテが積極的に獲得に乗り出しているわけではなく逆にキューバ側からの売り込みだという。 報道したのも、そのあたりを事情を織り込み済みのキューバの共産党機関紙だ。 キューバ選手の海外移籍は、政府が窓口になってレンタルとして行われているもので、ロッテは、その正規ルートでデスパイネを獲得したが、今オフには条件闘争となりロッテからソフトバンクに移籍した。キューバからすれば“借り”のあるロッテに数少ないチームの優良株の一人を推薦したのかもしれない。 キューバ政府が窓口になって移籍した場合、日本の球団がキューバ側へ払う年俸のすべてが本人に渡るわけでなく、キューバ政府がその一部を得る仕組みになっている。過去に横浜DeNAにグリエル、巨人にセペタが移籍。巨人にはマイナーレベルの選手も“派遣”されている。アメリカとキューバの国交正常化が宣言されたが、民間レベルの貿易交流については進んでおらず、キューバ政府にとっては、正規な窓口からレンタルされた方が亡命されてメジャー移籍するよりもメリットがあるため、獲得資金が豊富な日本の球団への移籍を推し薦めたいという事情もある。 サントスに関してはロッテ以外の複数球団にもオファーをかけている様子だが、報道した共産党の機関紙によるとカナダの独立リーグへの派遣計画もあるという。