ガザ戦闘休止の一方、長引く争いで“戦争疲れ”も…【WBS】
イスラエル軍とイスラム組織のハマスが、戦闘休止の期間に入りました。これまでハマスに人質となっていた58人が解放される一方、イスラエルも収監中だったパレスチナ人合わせて117人を釈放しています。 一方、ロシアによる侵攻が始まってちょうど1年9カ月となったウクライナでは、今ある懸念が広がっています。指摘されているのは、長引く戦争で支援の負担が重くなり発生した“戦争疲れ”。さらにパレスチナ紛争が激化しているため、欧米各国でウクライナへの市民の無関心も広がっているのです。 そんなウクライナ情勢に関して、日本である動きが。水のろ過装置を供給している「日本原料」。国内浄水場のフィルターで8割のシェアを握っています。今週その工場にやってきたのは、ウクライナの技術者4人です。 彼らはウクライナのキーウ水道局のスタッフです。今回、日本原料の浄水装置4機がウクライナに送られることになったため、今週いっぱい研修を受けています。JICA(国際協力機構)が取りまとめたインフラ支援の一部です。 一般的な浄水装置は、水をろ過するとフィルターの役割の砂に汚れが付着するため、定期的な交換が必要です。しかし、日本原料の装置はタンクの中で自動でフィルターである砂を洗浄し、電源さえあれば、半永久的に汚れた水から飲み水を作ることができるといいます。この装置を運ぶこともできます。 ウクライナからの技術者であるイリーナ・コメレヴァさんは「このシステムだとウクライナ南部の完全に断水しているエリアに適している。電源がなくても発電機があれば水を送ることができるのがこの装置の強み」と話します。 今でも1日に2~3時間ほど空襲警報があるキーウでは、浄水施設が破壊されたときのバックアップにも有効だといいます。 ウクライナに対し、1兆円を超える支援を表明している日本政府。一方で、中東情勢の緊迫でウクライナへの関心が薄れているという現実にウクライナからきた技術者のセルゲイ・ステルマフさんは「関心が薄れているのは心配。誰もが戦争は必要としていないと思うが」と話し、同じく技術者のリュボヴィ・アヴラメンコさんは「いろいろな国々のどんな支援でも私たちは感謝している」と話します。 今回ウクライナ支援を決めた日本原料の齋藤安弘社長は「イスラエルなどの紛争でウクライナ戦争がかき消されているというところがある。今まだ収束していないウクライナには、最後まで自分たちのできることをやる」と語ります。 来年1月、首都キーウと南部のオデッサに、こちらの浄水装置が贈られます。