神明通り(福島県会津若松市)再生へ新風 會津商人館を一新 シェア型施設に改修へ SATORU代表 橋本さん
会津若松市中心部の神明通りの再生に向け、新たな挑戦が始まる。通り沿いの商業施設「會津商人館(あいづあきんどかん)」をキッチン、オフィスなどを備えたシェア型施設に一新。利用形態を柔軟に定め、若者や女性が起業、就労へと踏み出しやすいマチの「起点」として年内に開所する。空洞化が進む会津随一の目抜き通りに民間の力、若い発想で人の流れを起こし、市街地の活性化につなげる。 會津商人館は2階建てビルで延べ床面積約400平方メートル。9月下旬から改修する。各テナントを分ける壁を取り払い、開放感と落ち着きのある間取りにリニューアルする。初期投資を抑え、入居条件を緩和することで幅広い人材にビジネスに挑戦してもらう。 主に飲食店用だった1階は新たに調理設備を導入し、日替わりで借りられるシェアキッチンとする。飲食業などを目指す人が菓子や総菜を調理・販売し、来場者が飲食できるスペースも備える。2階は月額制で短期間から使えるシェアオフィスとし、法人登記も可能とする。各階の空きスペースは催事場や学生の勉強場所として開放する。
シェア事業は、デジタルマーケティング業SATORU(サトル、磐梯町)が建物を所有している神明通り商店街振興組合から請け負う。同社代表の橋本浩寿さん(36)は葵高出身。高校時代に登下校で行き来した通りににぎわいを取り戻そうと、振興組合の堂平義忠理事長(55)に改装プランを提案した。新施設への「お試し出店」を本格起業への足掛かりにしてもらうのが狙いだ。ネットを使った商品宣伝などに通じた同社スタッフが、地域事情に明るい振興組合と連携して出店者に助言。神明通りの空き店舗など市街地への進出の橋渡し役として後押しする。 橋本さんは2016(平成28)年6月に大学時代の友人と起業し、ネットを介した創業支援や地域振興などに携わってきた。「中心市街地で挑戦する人の姿は若い世代に何かを伝えてくれるはず。高校生らが古里の良さを感じられる空間にしたい」と意気込んでいる。 ■空洞化解消好影響に期待 會津商人館は創業支援などを目的に2019(令和元)年8月に開所。コロナ禍などの影響もあり、テナント需要が低迷してきた。神明通り商店街振興組合は近隣の空き店舗を含めた物件紹介ツアーなどを催してきたが、賃料や事業実績などの出店条件も壁となり、思うように誘致が進まなかった。現在、事業者の入居は15区画のうち3分の1にとどまる。