“グリーンランド”になぜ執着?トランプ氏が欲しがる理由「原油やレアメタルなどの資源が豊富」「中国の進出が脅威になる」
アメリカのトランプ次期大統領が、グリーンランドの獲得に意欲を示している。トランプ氏は「アメリカには国家の安全保障上、グリーランドが必要だ」として、獲得に軍事力を使う可能性を否定していない。 【映像】30秒でわかるグリーンランドの特徴(リストで解説) グリーンランドは、日本の国土の6倍の面積で、世界で一番大きな島だが、8割が氷に覆われており、約5万7000人しか住んでいない。かつてはデンマークの植民地で、現在はデンマーク領で自治政府が置かれている。主な産業は漁業だ。 なぜグリーンランドが、安全保障上重要なのか。政治ジャーナリストの青山和弘氏は、「北極海を中心とした世界地図で見ると、グリーンランドはアメリカとロシアの間にあることがわかる。」と地理面での安全保障上の重要性を解説。また、氷の島のように見えるが、地下に資源が埋まっているといい、「原油やレアメタルなどが豊富で、中国が利権を取るため進出しようとしている。軍事的に大事な所に中国が進出してくると、トランプ政権で米中対立が厳しくなる可能性があり、アメリカの脅威になるだろう」と指摘する。 グリーンランドには現在、米軍の宇宙基地が置かれ、北朝鮮のミサイル発射などを監視している。そのため「いっそのことアメリカにもらってしまえ」と言い出した理由はこれらの点にあると考察する。加えて現地では、独立運動も起きており、「そこに乗じる思惑もある」とみる。 しかしながら、国際情勢におけるハードルは高い。「他国の領土をくれというのは、絶対にダメだとウクライナ戦争でも言っているのに、世界の盟主であるアメリカが『グリーンランドをよこせ。しかも軍事的な行動も辞さない』と言うのは、さすがにトランプ氏といえども、荒唐無稽な過激発言と言わざるを得ない」。 デンマークはEU加盟国であるため、グリーンランドもEUの領土だ。「もしアメリカが攻めれば、EUはアメリカと戦争しないといけない。よくわからない状況になる」として、デンマークの首相は、トランプ氏との対話を求めている。 実はアメリカは1949年にも、当時のトルーマン大統領が1億ドルでグリーンランド購入を提案したが、デンマーク政府に拒否されていたという。「米ソ対立時代はグリーンランドの上を核兵器が飛びかう可能性があった。その時の方が、今よりも欲しいインセンティブは高かった」と解説した。 (『ABEMA的ニュースショー』より)
ABEMA TIMES編集部