新春へ荷師大忙し 菰樽の製造ピーク ミニは訪日客らに人気 兵庫・尼崎の老舗メーカー
新春を祝う鏡開きなどに使われる菰樽の製造が、尼崎市塚口本町2の老舗メーカー「岸本吉二商店」で最盛期を迎えた。作業場では「荷師」と呼ばれる職人らが、来年の干支「巳」の絵や祝いの文字をあしらった菰を縄で巻き付けている。 【写真】映える「貝蒸し」が話題、独特の“盛りつけ”が人気のきっかけ 菰樽は江戸時代に伊丹や灘の酒を船で運ぶ際、樽を稲わらの菰でくるんで保護したのが始まり。酒どころに近い尼崎で、農家の冬仕事として発展した。現在は全国の酒造会社が使う菰樽のほとんどを尼崎の2社で手がける。同社では今月、6人の荷師が1日100個以上を仕上げる。 最近は300ミリリットルのミニ菰樽がインバウンド(訪日客)らに人気で、今年の売れ行きは昨年の2割増しという。日本の「伝統的酒造り」が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録され、2025年には大阪・関西万博も控える。同社の岸本敏裕社長(63)は「海外から注目され、いろんな日本を発見してもらう年。菰樽もその一つに」と願っていた。(吉田敦史)