五輪のたびに流れる「中国選手が金メダル独占する卓球がオリンピック種目から外れる」という情報
中国卓球の強さは非難されたり、疎まれるものではなく、尊敬されるべきもの
別に中国が不正を働いてメダルを取っているわけではない。 男子シングルス準々決勝の樊振東(中国)対張本智和(日本)戦で、張本は素晴らしい速攻で追い詰めた。勝ってもおかしくない試合。観戦していた水谷隼さん(東京五輪金メダリスト)は、「勝ったほうが金メダルだった」と言う。最終ゲーム11-7で張本は敗れた。敗れたとはいえ、張本のプレーはたしかに金メダルに値するものだったし、最後の1本への執着を見せた樊振東はそのまま続く2試合に勝ち、金メダルを獲得した。 女子団体決勝の中国対日本。1番のダブルスも日本は終始中国を上回り、最終ゲーム9-5とリードしたが、それでも勝てなかった。日本も強かった。しかし、それを上回る強さを中国は見せつけた。国を背負っている思いの強さ、それが他国と中国との差なのだろうか。 強ければ強いほど、他国やメディアから厳しく見られるのは王者の宿命だ。一方で彼らのそのレベルに至るまでの地の滲むような訓練、苦しみ、競争の激しさは想像を絶するものだろう。そこに目を向けずに「中国が強いから」「メダルを独占するから」五輪競技から外れるという憶測はナンセンスだ。 アスリートとして最高レベルに鍛え上げられた選手を破ってこそ、価値のある金メダルになる。いろいろな競技、種目がある中で、たしかに卓球では独占的に中国が強い。特定の国が長年にわたりメダルを獲得していく競技はほかにはないだろう。 しかし、卓球の中国選手は尊敬されこそすれ、非難される対象ではない。 国際卓球連盟には227の協会が加盟している。卓球はグローバルスポーツであり、競技人口は一億人を超える、外される理由がどこにあるのだろうか? 中国が独占する金メダル。彼らの努力を称賛しよう。そのうえで、その壁を打ち破っていくことの意味と、意義を考えなければならない。 <卓球王国PLUSより抜粋>