櫻井翔がジョセフHCから引き出したW杯開幕相手ロシアとの異例前哨戦計画
W杯の開幕戦で格下チームとのカードが組まれるレギュレーションの背景には、ランキング上位チームへの配慮と、本拠地チームに初白星を挙げてもらい、大会を活気づけたい、という大会本部の意図もあるが、3年前のイングランド大会では、日本が初戦で、優勝候補だった南アフリカを倒す“ジャイアントキリング”を起こしたように初戦には、何が起きるかわからない怖さも同居している。 それだけに情報の少ないロシアと1年前に前哨戦を戦い、肌感覚で、その力量を知りチームデータを入手できるのは大きい。もちろん手の内は、互いに隠すだろうが、地元開催のプレッシャーのかかる開幕戦の相手に異例の前哨戦で自信をつけておくことは重要である。 ジョセフHCは、ここから1年のチームの課題のひとつにチームメンタルをあげた。 「(2年前の欧州遠征で)ウェールズと接戦となったが、続くフィジーに負けた。メンタル、忍耐の強さが必要で、一貫性のあるパフォーマンスが鍛えていくべき点」 ジョセフHCの就任後、最初の欧州遠征だった2年前の11月に格上のウェールズに30-33の大接戦を演じたが、1週間後のフィジー戦では、ミスが目立ち25-38で完敗した。ジョセフHCは、この敗因理由をチームメンタルにあると分析した。 「毎週、同じパフォーマンスができない。イタリアとのテストマッチも勝っても次に負ける。そこが課題」 今年6月に行われたイタリアとの2連戦も、初戦に34-17で快勝したが、1週間後には22-25で惜敗している。2年前と同じパターンを解消できていない。これも敗因はチームメンタル。しかも、W杯となると、対戦相手のチームコンディションも激変してくる。 「4年に一度のワールドカップでは、通常のテストマッチと違い、準備、選手の拘束が十分にできるため、すべてのチームがベストのコンディションで入ってくる」 なおさら強靭なチームメンタルが求められる。そのためにも、開幕戦相手のロシアとの前哨戦は自信を植えつける強化計画としては理想的だ。 W杯でプールAを勝ち抜くには、アイルランド、スコットランドの2強から金星を挙げなければならない。大会日程は、9月20日のロシア戦(味の素スタジアム)の8日後の28日にアイルランド戦(静岡・エコパスタジアム)を迎える。10月5日のサモア戦(豊田スタジアム)を挟み、10月13日に予選最終戦としてスコットランド戦(横浜・日産スタジアム)が待ち受けている。ハードな日程で、ジョセフHCの言う「一貫性のあるパフォーマンス」を続けるチーム力アップが課題だろう。