東証株価の大幅続落を知らせるデジタルサイネージの画面＝５日午後、鹿児島市金生町のよかど鹿児島

　日経平均株価が過去最大の下げ幅になった５日、鹿児島県内の投資家からは不安の声が上がり、証券会社には先行きを心配する客からの問い合わせが増えた。一方で「安くなった今が買い時」と前向きに捉える様子も見られた。 　日銀が追加利上げを発表した７月３１日以降、円高や株価下落の動きが続き、５日は１９８７年の「ブラックマンデー」を超える暴落となった。約４年前から投資信託などを買う鹿児島市の会社経営男性（４１）は「株に詳しい人から『今が買い』と勧められるが、どういうことが起きれば下げ止まるのか全く分からない。取りあえず様子を見るしかない」と複雑な心境を語った。 　昨年から少額投資非課税制度（ＮＩＳＡ）を始めた指宿市の４０代男性経営者は「日本株には怖くて投資できない」と外国中心の銘柄を購入する。「先が読めず乱高下している。今後も手は出さないだろう」。ＮＩＳＡで毎月千円ずつ積み立てる鹿児島大学１年の男子学生さん（１９）は「少額なので問題ないが、もっと高額だったらと思うと恐ろしい」と漏らした。

　投資に対する不安や警戒感が高まる一方で、好機と捉える動きもある。日経平均が急落した２日、「チャンス」と投資信託を購入した鹿児島市の主婦（５５）は「週明けも千円ぐらいは下がるかもと予想はしたが、まさかここまでとは」と仰天した様子。同市の会社員男性（４１）は「安い時にたくさん買えると思えば不安はない」と話した。 　同市の九州ＦＧ証券鹿児島支店では、問い合わせが増えたものの一気に売り注文が相次ぐような大きな混乱はなかった。 　第一生命経済研究所（東京）の熊野英生首席エコノミスト（５７）は、米株式の下落が今回の主な要因として「利上げによる円高で日本株が特に下がった。１カ月間は今より落ちる可能性がある」と見通す。９月の米国利下げ予想を受け「そこからは反転の兆しが見られると思う。落ち着いて長い目で見た方がいい」とアドバイスした。