保育士→引きこもり→地下アイドル→女優 紆余曲折あった角田奈穂がプロレス引退を決めるまで
コロナ渦で考えた「自分のやりたいプロレス」
プロレスラーとして開眼できない日々が続いた角田だが、コロナ禍で角田のプロレス人生は大きな岐路を迎えた。2019年に左膝前十字じん帯断裂の手術のため長期欠場。そして、復帰して1年ほどでアクトレスガールズを退団し、東京女子プロレスへの参戦を発表した。 「復帰してコロナ禍になったときに、自分に時間が出来過ぎちゃって、いろいろ考えたんです。その中で『今いる環境が自分に合っているのかな』『プロレスは続けたいけど、このままでは何のためにやっているのかわからない』とか……完全なフリーも考えたんですが、いろいろなレスラーの先輩や同期にも相談して、東京女子でやっていきたいと思うようになりました。SNSで見ていた東京女子は本当にみんなかわいくて、ここには私の知らないプロレスがあると感じて。実はアクトレス時代も、新コスチュームを作るときは全身が映っている選手名鑑を見て東京女子の選手に憧れていました」 角田は2020年11月14日から東京女子にレギュラー参戦。実際に立ってみた東京女子のリングは、角田にとってどのようなものだったのか。 「キャリアにとらわれないアットホームな団体で、思い描いたキラキラした環境がそこにはありました。自分の知らないプロレスがここにはあるんじゃないかと考えて来ましたが、見ていた印象の何倍も個性豊かで毎日が刺激的で楽しかったです。もちろんその個性を知るために試合の映像もたくさん見たし、知らないものを知るということは簡単なことではなかったですけどね、前向きな気持ちしか生まれなかったです」 その中で角田は「頼れるお姉さん」として、存在感を増していく。 (23日掲載の後編へ続く)
橋場了吾