用水路転落事故防止へ新型カバー 高岡市の企業が開発
KNB北日本放送
県内で後を絶たない用水路への転落死亡事故。対策が急がれる中、高岡市の企業が開発した転落防止カバーの導入が県内で広がっています。 長谷川記者のリポートです。 砺波市内の農道です。 小学校が近くにあり通学路にもなっています。 農道の脇には用水路が流れていて、住民はヒヤリとしたこともあるといいます。 地元住民 「だいぶ前にも、ちょっと川の水少なかったんですけど、落ちた子おって慌てて、お家の方へも連絡して。通学路なんで子どもさん、低学年の方は本当ふちまで歩くもんで」 そこで設置されたのがこちら。 長谷川大記者 「用水路の転落事故を減らそうと開発されたこちらのカバー。最大の特徴はこの山のような形にあります」 用水路におよそ300メートルにわたって取り付けられているのは山形の金網カバー。 用水路を管理する地元の土地改良区がおよそ5か月前に設置しました。 砺波市土地改良区東野尻地区委員会 水木修委員長 「これで安心やなと。子どもが落ちることない。自転車に乗った老人とかが落ちることはないかなと」 県警によりますと、県内用水路での死亡事故は毎年10件から20件余りで推移しています。 2024年は6月末までに12人が亡くなりました。 用水路の事故が後を絶たない中、開発が進められたのが転落防止カバーです。 こちらは、カバーを開発した溶接金網の専門メーカー、高岡ケージ工業です。 県などの支援を受け製品化を果たしました。 カバーを山形にした背景には、ある狙いがあったといいます。 高岡ケージ工業 小川光弘課長 「平ネットで作ると、どうしても強度を必要として重量が重くなってしまいます。そこで細い線形のもので、網目を粗くしてそれでも強度が保たれるように山形の形状にして製作しております。」 カバー1個の長さは1メートル。 100キロの重さまで耐えられる強度がある一方で、重さをおよそ3キロに抑えました。 お年寄りでも簡単に取り外しができる重さで、一般的な平らなカバーと比べて2割ほど軽いということです。 山形と傾斜、2種類のカバーは網目状で、網目は雪が捨てやすい大きさに工夫されています。もう1種類開発した新型のカバーと合わせ、発売から1年で県内6か所に導入されました。 高岡ケージ工業 杉江幸宏社長 「この製品によって、用水事故が富山多いですので、1人でも安全に農作業ができるような、そういうような形で進められればいいと思っております」 用水路カバーを設置している現場の総延長が1万キロメートル以上に及ぶ県内の農業用水路。 身近な用水路での事故を防ぐため新たな取り組みが始まっています。