豊洲市場「地下空間の水は地下水」専門家会議の平田座長が視察
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東京・豊洲市場の主要施設の下で土壌汚染対策の盛り土がなされていなかった問題で、再設置された専門家会議の座長を務める平田健正放送大学和歌山学習センター所長が24日、同市場の地下空間を視察した。平田座長は地下空間の水は「地下水」との見方を示した。 【中継録画】豊洲汚染対策問題は? 小池都知事の定例会見
周囲の井戸水と「成分が同じ」
築地市場の移転先である豊洲市場をめぐっては、土壌汚染対策や情報公開などが不十分との理由で、8月末に小池百合子都知事が移転の先延ばしを表明。豊洲市場の敷地はもともとガス工場でベンゼンやシアンが検出されたため、土壌汚染対策として豊洲市場の地下に盛り土をする予定になっていた。しかし、その後に盛り土がなされていないことが判明し、建物下が地下空間になっていることが明らかになった。計画通りに盛り土されていなかったことをめぐり、元都知事の石原慎太郎氏が文書で謝罪する異例の事態になっている。 この日は平田座長とともに報道陣も地下空間に入った。 地下ピットには約20センチの濁水が溜まっており、異臭が立ち込めていた。豊洲市場は新鮮な魚や野菜を扱う都民の台所だけに、大気汚染や水質汚染、土壌汚染は許されない。 それだけに、地下ピットの水をめぐっては共産党都議団や公明党都議団などが独自調査を進めて多角的に検証がなされている。都はこれまで、地下水は雨水が溜まったものとの見解を示していたが、平田座長は分析結果をもとに「周囲の井戸水と成分は同じなので地下水と断定できる」と述べた。
“築地ファースト”でやっていく
今回、平田座長は豊洲市場の水産卸売場棟など4施設を視察した。地下空間の水からは、都議会公明党の調査でシアンが検出されたものの、都の調査では基準値以上の有害物質は確認されなかった。そうなると、豊洲移転の動きは活発化しそうだが、「臭いの原因を調査する必要がある」と慎重な姿勢を崩していない。 平田座長は小池都知事の掲げる“都民ファースト”に倣い、「市場移転は、築地ファーストでいきたい。数値的に安全・安心だからといって、すぐに豊洲への移転準備が再開されるわけではない」とも語った。 都は地下空間の地下水や大気を測定し、今後も継続的に有害物質の有無や量、水位についても定期的にチェックしていくとした。定期的な観測には地下水の環境を一定に保つ必要があり、そのためには外部から大気や水が流入しないようにしなければならない。そうした理由から、今後は地下ピットに関係者のみの立ち入りとなり、報道陣への公開は原則として行わないことを表明。その替わりに情報公開を徹底することにも言及。マスコミ各社に理解を求めた。 また、都は地下に溜まった水を排水するために、現在は排水システムの試運転をおこなっているが、10月中旬には本格稼働させたいとしている。 ■豊洲地下ピット視察後、平田座長の会見 (小川裕夫=フリーランスライター)