『虎に翼』が言及した関東大震災での朝鮮人虐殺 変わらぬ差別と人種問題を考えるために
三条市にあるスマートボール場で起こった放火事件の容疑者として逮捕された朝鮮人の金顕洙(許秀哲)。寅子(伊藤沙莉)は、航一(岡田将生)と判事補の入倉(岡部ひろき)と共に裁判の場に立つことになった。『虎に翼』(NHK総合)第87話では、寅子は様々な差別に直面し、裁判官としての立場に悩むことになる。 【写真】娘の相談を聞き、頭を悩ませる寅子(伊藤沙莉) 初公判では、顕洙の弟の広洙(成田瑛基)が傍聴席から無実を訴えて退席させられそうになっていたところを、三条支部の事務員・小野(堺小春)が朝鮮語で広洙をなだめその場を落ち着かせた。後日、次郎(田口浩正)から過去に小野が朝鮮人と関わりがあったことを告げられ、傍聴人として今後は出席しないようにお願いされた寅子。 次郎によると、かつて朝鮮人の恋人と結婚しようとしたところ、親の猛反対に遭い、別れさせられたらしい。勝手に他人の過去にずかずかと足を踏み入れる次郎にはいい気はしないが、高瀬(望月歩)の「クソジジイのおせっかいが!」という発言で少しはスッキリした。そもそも公開された裁判を傍聴するもしないも、他人がとやかく言うことではないのだ。 寅子が本庁勤務する以外の日の週2回は涼子(桜井ユキ)と玉(羽瀬川なぎ)が営む喫茶店「ライトハウス」の手伝いをすることになった稲(田中真弓)。涼子と玉とは良好な関係を築けているようで、すっかり2人からは信頼されていた。寅子が子育てしている姿を想像できないという涼子に、稲は「日々頑張ってらっしゃいますよ」と夕食での優未(竹澤咲子)とのエピソードを話してくれた。 山登りをすることになった優未だが、一緒の班になったクラスの嫌われ者との接し方がわからず、寅子に相談する。自分の子とはいえ、自分事のように親身になって考えられるのは寅子の美点であり、欠点でもある。だが、そんな寅子の素直さが寅子らしい。頭を悩ませる寅子を見て、優未と稲が顔を見合わる姿はなんとも微笑ましかった。