50歳が「ひとり旅適齢期」なワケ。女性ひとり旅が似合う土地ナンバーワンは?
宿泊して、奈良まで足を延ばす
ひとり旅だからこそこだわりたいのが宿泊先。旅の拠点となりますから選び方も重要です。本書のオススメが「地下鉄でいうと烏丸御池駅、丸太町駅あたり」。 なぜなら「地下鉄はもちろんのこと、バスに乗るにも便利だから」。ついでに新しくてリーズナブルなホテルも多いのだとか。 烏丸線に乗り、京都駅を越えて竹田駅に行くと近鉄線につながります。ここから宇治や奈良にも行けますから、一度で二度おいしいひとり旅になるのです。 ほんの数日の予定でも、京都市内だけではなく宇治の平等院鳳凰堂や、奈良の東大寺大仏殿まで観光できそうです。マイペースに行き来できるのが、ひとり旅のよさでもありますよね。
芸術にふれる、金沢
2015年に東京から新幹線が開通した時、遠く憧れの地だった金沢が身近になりました。山崎さんは、その時に行った母とのふたり旅をなぞるひとり旅に。 まず訪れたのは「金沢21世紀美術館」。東京をはじめ主要都市でも美術館はありますが、ひとり旅がプラスされると美や学びの浸透率が違ってくると思いませんか。 このときは特別展「フェミニズムズ FEMINISM」が開催されていたそうですが、「多様性を認めようとすれば絶対に避けて通れないテーマ」です。他民族とかLGBTQだけではなく、女性の生き方にも多様性が求められる時代。ひとり旅でこのテーマに巡り合うあたり、運命的なものを感じるのは私だけでしょうか。 旅の醍醐味(だいごみ)のひとつに、お土産があります。家族に、友人知人に、もちろん自分にも。山脇さんが購入したのは、菓子舗「吉はし」さんの上生菓子(前日までに要予約)。 金沢は菓子文化も華やかで、金沢駅のショッピングモール「金沢百番街」のお土産ゾーンは、新しいお店も老舗も一堂に会しているそうです。お菓子だけではなく、加賀棒茶や地酒もチェック。新幹線の発車時刻には余裕をもって、お土産探しも旅の一部です。
自分だけの時間に集中する
平日は仕事で忙しく、休日は家事や付き合いで忙しい。昔よりも1日が短くて、漠然(ばくぜん)とした不安に苛(さいな)まれてしまう。その原因のひとつが、SNSではないでしょうか。 ひとりでいても、SNSを見てしまうと、ひとりの時間ではなくなってしまいます。頭の中が、雑多な情報でいっぱいになるからです。 「ひとり旅のときは、なぜかSNSを見る時間がものすごく減ります」と山脇さん。「まわりに見たいものがたくさんあるからか、緊張してドキドキしているからか」と分析しながらも「それがとても気持ちいい」と言うのです。 手のひらにおさまるスマホの世界もいいけれど、たまには両手で抱えきらないほど大きく、澄んだ世界に身をまかせてみませんか。指で検索するのではなく、時間と足を使って赴く未知の旅が、50歳からのあなたを成長させてくれるかもしれません。 <文/森美樹> 【森美樹】 1970年生まれ。少女小説を7冊刊行したのち休筆。2013年、「朝凪」(改題「まばたきがスイッチ」)で第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)、『母親病』(新潮社)、『神様たち』(光文社)を上梓。Twitter:@morimikixxx
女子SPA!