西はオリから阪神FA移籍投手成功せずの悪しきジンクスを打ち破れるのか?
阪神OBでパ・リーグの野球に詳しい池田親興さんは、西には、過去の失敗した2人の投手とは、決定的に違うアドバンテージがあるという。 「まず年齢。西は、まだ28歳。36歳の山沖氏、34歳の星野氏とは違う。一番充実した年齢での移籍になった。それとパ・リーグと、セ・リーグの野球のレベルの差。交流戦の結果を見れば明らかだが、山沖氏、星野氏の時代と比べて、さらにセ、パのレベルの差が広がっている。西は、西武やソフトバンクという強力打線を相手に投げてきた。今後、自らが打席に立つというストレスはあるかもしれないが、DHがあり、セで言えば、4番打者が2人いる打線を相手にしてきたのだから、今季の成績以上は期待できるだろう。コントロールピッチャーで連打も浴びない。メッセンジャーは別格として西がローテーを引っ張り、5つ以上の貯金を作るくらいの気持ちでやれれば、結果は伴ってくるのではないか」 2014年から3年連続で2桁勝利。昨季は故障などもあり、5勝6敗、防御率3.44の数字だったが、今季は初の開幕投手を務め、10勝13敗、防御率3.60とV字回復した。 だが、池田さんは、不安要素も指摘する。 「オリックス時代には何も問題にならなかったようなコメントでも阪神では大きく取り上げられる。マスコミやファン、注目度はオリックスと違う。その環境で力を発揮できるのか、どうかという不安もある。また今年はピッチングの内容としては決してよくなかった。得点力の低い阪神打線をバックに投げるのだから防御率をもう少し下げないと白星にはつながらない。援護がなくても我慢のピッチングを続けることができるのか。本拠地がドームから甲子園に替わり集中力を保つことも難しくなる。そういう環境の違いも、彼に襲いかかることになる」 オリックスから阪神にFA移籍してきた投手は活躍できない……という悪しきジンクスを西はどう打ち破るのか。オフの補強戦略で他球団に遅れをとってきた阪神がようやく西という開幕投手候補を得て息を吹き返したのではあるが……。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)