浜名湖アサリの天敵・クロダイ幼魚、ヒグマ・ツキノワグマの餌に…県・漁業者と動物園が連携
浜名湖のアサリ減少の原因に挙げられるクロダイ対策として、静岡県水産・海洋技術研究所は、幼魚を動物の餌として活用する取り組みを始めた。漁業者、仲買業者、動物園と連携して、アサリ資源の回復を目指す。
浜名漁業協同組合によると、浜名湖のアサリ漁獲量は2009年に約6000トンに上ったが、19年、20年は1000トンを割り込み、21年は過去最低の100トンに落ち込んだ。23年も363トンと近年は低迷が続いている。
クロダイによる食害のほか、湖水の栄養不足によりアサリの餌となるプランクトンが育たなかったり、高水温の期間が長かったりすることなども原因に挙げられるという。
県はクロダイ対策として、漁業者が手のひらサイズに満たない小さなクロダイ(10センチ未満)を商品価値がないとして浜名湖に戻している状況に着目。捕獲して動物園で餌として活用する取り組みを企画した。
同漁協の漁業者、仲買業者、浜松市動物園の協力を得て、11月下旬から試験的な取り組みを開始。漁業者は通常水揚げしない小さなクロダイ約100キロを取って仲買業者に卸し、仲買業者が仕分け、凍結、配送を担い、動物園が買い上げる。
同研究所浜名湖分場の霜村胤日人(つぐひと)さん(46)は「湖のクロダイを小さなうちから減らすことで、アサリへの食害を効果的に軽減できる可能性が見込める」と分析している。
市動物園では、クロダイのヒレのとげを除去した上で、ヒグマ2頭に計2キロ、ツキノワグマ1頭に200グラムを週2回与えている。同園の須山総子・副技監は「ヒグマは魚が好きなので食べているが、今後は他の肉食系の動物にも与えて反応を見てみたい。可能性を増やし、アサリ資源回復の取り組みに協力していきたい」と話している。