県警がユーチューブで公開した動画「AJKJ」の紹介画像

　「Emergency（エマージェンシー＝緊急事態）は日常茶飯事♪」。若い世代の県民にも親しみを持ってもらおうと、千葉県警は警察官の仕事をラップで紹介した動画「AJKJ」を公式YouTube（ユーチューブ）チャンネルで公開した。企画を立案し、自ら作詞・出演もした伊藤博之警部補（43）は「この動画を通じて県民のAJKJ（安全安心を実感できるくらしの実現）にもつながれば」と期待する。 　この曲は、県警が今年の重点目標に掲げる「安全安心を実感できるくらしの実現」をテーマにしている。「一歩先行く狡猾（こうかつ）な手口　人の優しさにつけ込む詐欺　お前らにかける情けはなし♪」「築くのさ　日常という名のレガシー♪」「治安の維持にふりしぼるエナジー♪」といった詞で、特殊詐欺などに触れながら、韻を踏んでテンポ良く警察官の日常を紹介した。

動画を企画した伊藤警部補＝9月6日、県警本部

　伊藤さんは制作当時、県警の広報県民課に所属し、警察の活動を伝える広報活動も担当。注目を集める発信を通じ、より多くの人に知ってもらうことで現場の警察官を鼓舞できるのではと思うようになり「県民が警察官の仕事を知ることができるだけでなく、危険と隣り合わせで闘う警察官への応援歌を作りたい」と一念発起して企画を立てた。 　歌や楽器は得意ではなかったが、好きで良く聞いているラップならできるかもしれないと、ラップの作詞に初めて挑戦。作詞のために韻の踏み方などを一から勉強した。伊藤さんは「テーマが決まっていて、韻のルールもあることで逆に言葉がポンポン出てきた。あまり悩むことなく作詞することができた」と振り返る。 　若い世代に人気のラップで警察官の仕事を紹介することで、若者に警察官という仕事の選択肢を知ってほしい狙いもあるという。「警察官の仕事は自分たちがこの街を守るという誇りがあるのが魅力。大変さやつらさも包み隠さず伝えた上で、警察ならではのやりがいも伝えたかった」と語る。 　伊藤さんは秋の人事で流山署へ異動になり、刑事として捜査の前線へ戻った。これからは自分が鼓舞される側になる。伊藤さんは「やる気しかない。一人でも多くのトクリュウ（匿名・流動型犯罪グループ）を捕まえてAJKJに貢献したい」と笑顔で力強く意気込んだ。