失恋よりも辛い。“友達との別れ”を正しく乗り越える方法
一つの友情が終わった時、私たちはどうしてこんなに悲しい気持ちになるのだろう。時には失恋より辛い経験となりうる友達との別れは、どうやったら乗り越えられるのか。現代における友人関係のあり方を考え、上手くいかなかったときの対処法を知ることで、前に進んでいけるための力を身につけよう。カナダ版『ELLE』より。
新天地で見つけた新しい友情
メーガンにとって、すべてはトマトから始まった。トロントを拠点とする32歳の作家である彼女は2015年、韓国で英語教師として働いていた時に同僚だったサラと絆を深めた。最初は新しい友情を築くのをためらっていた2人だったが、ブランチのためにバーに出かけたのがきっかけで友人関係になったという。「私は彼女にトマトをあげました。面白いことに、それが私たちの友情の始まりでした」
突然の一方的な別れ
その後、メーガンは出国しサラは韓国に留まったが連絡を取り続け、遠距離にも関わらず関係を保ってきた。2人の関係が変化したのは2018年だ。サラはメーガンを家族の結婚式に招待したが、すぐに招待を取り消した。その後、サラはメーガンに自分たちは合わない、価値観が違うのだと話し、やがて彼女からは連絡が途絶えた。「それは友人関係を“静かにやめる”ものでした」とミーガン。
SNSでも“静かにやめる”友人関係がトレンドに
友人関係を断つ人が増加しているという確かなデータはないものの、TikTokのおすすめ欄をざっとスクロールすれば、フェードアウトや既読無視、無反応などでひっそりと友人関係を終わらせる、“静かにやめる(Quiet Quitting)”が人々の話題になっていることが確認できる。10月にテイラー・スウィフトのアルバム『1989 (Taylor's Version)』がリリースされると、SNSでは失恋ソング「Now That We Don't Talk」を友人関係に重ねる人が続出。数十万人のユーザーが有害な親しかった友達との別れについてのエピソードをシェアした。
パンデミックや政治問題、経済危機が人々を分断
この現象は私たちが置かれた状況にも関係しているかもしれない。「過去3年間は控えめに言ってもトラウマ的なものでした」と、「Layla Care」の臨床心理学者であるシキ・フアン博士は言う。「パンデミックとそれに対する私たちの反応、政治選挙、戦争、生活費の高騰など、ストレスが多く意見を対立させる話題は沢山あります。多くの人が強いストレスと緊張を感じているため、それが議論のきっかけになったり、あるいはそれに直面したくない場合は議論の欠如を引き起こしたりする可能性があるのです」 どのテレビ番組を一緒に見るかについて議論するのとは異なり、そういった話題では友人があなたと同じ基本的価値観を持っているかどうかを知る必要がある。そのため「かなりの緊張を生む可能性がある」という。