急増する「ロマンス詐欺」「SNS投資詐欺」、なぜ中高年は簡単にカモになってしまうのか
オレオレ詐欺、ルフィ事件に象徴される数々の強盗など、近年、世間を戦慄させる犯罪が増えているが、これらの「犯人」は誰かと言えば、ほぼ全てがSNSなどを通じて離合集散を繰り返す「匿名・流動型犯罪グループ(以下、トクリュウ)」であると言っていい。 【図表】SNS型投資詐欺・ロマンス詐欺の認知件数・被害額(令和5年・月別)。昨年6月の岸田首相の「資産所得倍増元年」宣言以降、投資詐欺の認知件数が急増したことが分かる そして彼らが触手を伸ばす犯罪の傾向は時とともに変化し、昨年から今年にかけては「ロマンス詐欺」、「SNS投資詐欺」が主流になりつつある。 ■ ロマンス詐欺、SNS投資詐欺とは何か SNS型投資詐欺とは、相手方が、主としてSNSやその他の非対面での欺罔(きもう)行為により投資を勧め、投資名目で金銭等をだまし取る詐欺(特殊詐欺又はロマンス詐欺に該当するものを除く)――。 ロマンス詐欺とは、相手方が外国人又は海外居住者を名乗り、SNSやその他の非対面での連絡手段を用いて被害者と複数回やり取りすることで恋愛感情や親近感を抱かせ、金銭等をだまし取る詐欺(特殊詐欺に該当するものを除く)――。 投資詐欺とロマンス詐欺を、警察庁は以上のように「暫定的に定義」している(警察庁 捜査第二課、組織犯罪対策第二課「広報資料」)。
■ 首相の「資産所得倍増元年」宣言から加速したSNS投資詐欺被害 SNS投資詐欺被害は、昨年6月に首相官邸が「『人生100年時代』。個々人の生き方、働き方も多様になり、それぞれのライフプランにあわせた資産形成が重要になっています……皆様が、ご自身のライフプランにあわせた資産形成を進められるよう、政府一丸となって取り組んでいきます」という岸田首相のメッセージを出してから激増している(首相官邸「資産所得倍増元年―貯蓄から投資へ」2023年6月30日付)。 この宣言があった2023年6月以降、投資詐欺認知件数は急増し、同年12月には約3倍となった(筆者注:2023年6月時点120件(19.9億円)、12月時点369件(53億円)(下記【図1】参照)。 ちなみに、ロマンス詐欺被害の72.4%についても、「2人の将来のため」などとかたった“投資名目”だった。1月に「新NISA」が始まり、政府が「資産運用立国」を目指すなど、投資への社会的関心の高まりに犯罪グループが乗じている可能性がある(共同通信 2024年3月7日)。