新型コロナ禍で自粛中の世界アスリートはどんなアイデア練習で逆境を克服しているのか?重トラック押し、自宅プール…
トラックを押すというアイデアはどこから思いついたのか。リンカーンによると、コーチと自分の考えを組み合わせたもので、物事に順応し、既存の枠組みにとらわれないようにしているという。 「日常的に行っているエクササイズに目を向けると、たとえば、そり(スレッジ)押しがあります。(これは普段トレーニングしているジムでやっています)。僕の家の中のジムにそりがないとき、何を使えばよいか。そこでトラックを押すというアイデアが出てきたんです。似たようなポジションだし、いつもやっているものよりも間違いなく重いのです」 スレッジを押すトレーニングを代替するものとして、トラック押しは発明された。 リンカーンは、移動と外出に制限があるなかでトレーニングしている様子を、これまでにもツイッターやインスタグラムで公開してきたが、ユーチューブにもまとめる予定だ。しかし、創意工夫しているとはいえ、満足な環境下でトレーニングのできない影響はある。 リンカーンは「温暖な気候のポルトガルでトレーニングする予定だったのですが中止になり、そこで一ヶ月近くトレーニングをする機会を逃してしまいました。僕の立てた多くの計画が台無しになっています」と言う。それでも、今年中には何らかの競技会が開催されると考え、モチベーションを高めている。 型にはまらないトレーニング法をあみだしているアスリートは他にもいる。 オランダの水泳選手で、リオ五輪のオープンウォーター女子10キロの金メダリストであるシャロン・ファンラウエンダールも、クリエイティブなトレーニング方法をインスタグラムに掲載した。 PRI(パブリック・ラジオ・インターナショナル)4月17日付電子版によると、ファンラウエンダールは自分の家の裏庭に、直径2メートル程度の子どもが使用するようなビニールプールを設置。自分の腰に抵抗性のあるゴムチューブを巻き、その端を後方の木の枝のやや高いところに結びつけた。PRIの取材にファンラウエンダールは「実際にはプールの同じところにずっといるのだけど、1時間は泳げる」と話している。 日本の競泳選手、瀬戸大也(ANA)も、自宅に簡易プールを設置し、腰にチューブをつけて泳ぐ様子をインスタグラムで公開している。 フランスの空手世界チャンピオン、アレクサンドラ・レッキアも自宅でトレーニングしている。本来ならば練習パートナーとともにトレーニングするのだが、現在はひとりで行っている。 レッキアの練習相手は案山子のようなものだ。同日付のPRI電子版はレッキアのボーイフレンドが作ってくれたと伝えている。植木鉢を土台にし植物を育てるときにツルを巻きつける支柱のようなものと長い棒を使い、上部にパッドを巻きつけたものだ。 これを相手に4週間練習を続けているという。PRIには「パーフェクトだ」というレッキアのコメントが掲載されている。