“野戦病院”と化した大谷翔平のドジャースは“大型補強”を敢行するのか!?…ゴームズGMの答えは『変更なし』今後の鍵を握る「2020トリオ」
◇AKI猪瀬コラム「MLBへの扉」 78試合を消化した時点で14人の故障者を抱え、そのうち12人が投手陣というドジャース。まさに野戦病院と化していますが、数字上の成績は悪くはありません。100勝62敗を記録した2023年の78試合消化時点の勝敗は44勝34敗。今季は47勝31敗で昨年よりも高勝率を維持しています。 ただ米国内では、ド軍が7月31日のトレード期間最終日までに大型補強を敢行するとウワサが…。しかし、ド軍のゴームズGMは「ポストシーズンまでに山本とベッツは確実に復帰している。その2人が今季絶望の故障だったら、いろいろなことを考慮する必要が出てくるがその可能性は低い。なので、現時点で我がチームのプランに大幅な変更はない」とコメント。この通りならば、ファンが驚くような大型補強は見送られそうです。 大量の故障者を抱えながら、高勝率を維持している余裕と自信がゴームズGMのコメントから感じ取ることができます。しかし、今後も故障者続出の連鎖が止まらず、勝率が下降するような緊急事態が起これば、プランの大幅な変更を迫られることになるでしょう。それでも現有戦力で残りのシーズンを戦うと仮定した場合、鍵を握りそうなのがギャビン・ストーン投手、ボビー・ミラー投手、ランドン・ナック投手の「2020トリオ」です。 新型コロナウイルスの蔓延によりショートシーズンとなった20年。この年はドラフト会議日も縮小開催されました。本来ならば各チーム40巡目まで選手を指名できますが、この年は各チーム5巡目までしか指名できませんでした。この縮小ドラフトでドジャースから1位指名を受けたのがミラー投手、2位指名がナック投手でした。その次の指名は、戦力均等ラウンドB指名でクレイトン・ビーター投手(現ヤンキース傘下)、3位指名がジェイク・ボーゲル外野手(現ドジャース1A)、4位指名がカーソン・テイラー捕手(現フィリーズ傘下)そして、最終5位指名がストーン投手でした。 エースのグラスノー同様の安定感を発揮しているストーンですが、20年にドラフトで指名された全160人中、159人目。1位指名のミラーも1位指名最下位、2位指名のナックも2位指名最下位選手でした。山本とビューラーが離脱した先発陣は、明らかな枚数不足に陥っているので「2020トリオ」のさらなる成長が求められています。 決して高評価ではなかった選手を指名し、メジャーデビューさせる育成システムの素晴らしさもドジャースの長期間の黄金期を支える要因。20年縮小ドラフトからオールスターゲームに選出されたのは、アトランタ・ブレーブスのストライダー投手とエルダー投手の2選手しかいません。もしかすると、今季、ストーン投手が3人目の栄誉を手にするかもしれません。(大リーグアナリスト)
中日スポーツ