再婚した妻の連れ子を養子には入れられない事情があります。社会保険制度上でのデメリットはあるのでしょうか?
再婚相手に連れ子がいる場合、健康保険の扶養や相続など、さまざまな事項を考える必要があります。養子縁組とすれば法律上の子となるため問題が起こりづらいですが、何らかの事情で養子に入れられないこともあるでしょう。 本記事では、養子に入れられない連れ子がいる場合に社会保険の扶養に入れられるのか、また相続でどのような問題が発生するのかを解説します。 ▼亡くなった母が私名義で「500万円」を遺してくれていた! 名義は自分でも「相続税」はかかる?
実子と連れ子で社会保険制度の違いはある?
実子と連れ子のいずれも、社会保険の扶養に入れることが可能です。ただし、養子に入れて実子にするかどうかによって、扶養に入れる条件は以下のように異なります。 ・養子に入れる(実子にする):生計維持関係があることが条件 ・養子に入れない:生計維持関係と同居が条件 実際に、全国健康保険協会(協会けんぽ)によると、被扶養者の範囲は以下のように定められています。 ・被保険者の直系尊属、配偶者(事実上婚姻関係と同様の人を含む)、子、孫、兄弟姉妹で、主として被保険者に生計を維持されている人(必ずしも同居している必要はない) ・被保険者と同一の世帯で主として被保険者の収入により生計を維持されている「(1)被保険者の三親等以内の親族」「(2)被保険者の配偶者で、戸籍上婚姻の届け出はしていないが事実上婚姻関係と同様の人の父母および子」「(3)の配偶者が亡くなった後における父母および子」 つまり連れ子と生計維持関係があっても、下宿先に住んでいるなどの事情があり同居条件を満たさなくなると、扶養から外れてしまいます。 高校進学時や大学進学時に同居しなくなるときは扶養から外れ、連れ子自身が国民健康保険に加入する必要が生じる点に注意が必要です。
連れ子は「相続」についても早めに考えるべき
連れ子を養子にしない場合、相続に関しても考える必要があります。養子に入れないかぎり法律上の子とは認められないため、相続権を有しません。 法定相続人となるのは配偶者・子・直系尊属・兄弟姉妹で、養子ではない連れ子は生計維持関係にあったとしても、子には該当しません。連れ子自身が相続で財産を取得できないと、生活に困ってしまうリスクが考えられます。 自分が死亡したときに連れ子へ財産を渡したい場合は、遺言書を作成する必要があります。または、死亡する前に生前贈与を通じて、財産を移転する方法も検討する必要があるでしょう。 なお、遺言書を作成して連れ子に財産を渡す際には、遺留分に注意する必要があります。遺留分とは法定相続人のなかでも配偶者・子・直系尊属に認められている権利で、「最低限財産を受け取れる分」です。 遺留分は法定相続分の2分の1(直系尊属のみが法定相続人の場合は3分の1)で、各相続人は遺留分を侵害されると、当該部分を自分に渡すように請求できます(遺留分侵害請求)。 もし遺言書で「財産のすべてを連れ子に相続させる」のように、法定相続人の遺留分を侵害する内容を書いてしまうと、連れ子と法定相続人間の事務的負担が増えたりトラブルに発展してしまったりする恐れがあるため、注意しましょう。