「志村けんさんのデマ投稿をきっかけに…」誹謗中傷に襲われた関係者が明かす「開示請求バトル」衝撃の結末
ついに法廷闘争へ
突如として始まったネット上での誹謗中傷。あなたならどうしますか。 都内で事務員として働くA子さんもそんな被害に遭った一人。すぐさま開示請求を決意するが、彼女の前に立ちはだかったのが掲示板、そしてプロバイダという厚い壁だった。 【写真】SNSでデマが拡散…問題の投稿はこちら! 前編記事『「根も葉もない嘘を…」志村けんデマ投稿騒動「関係者」が明かす誹謗中傷「驚愕の中身」』に引き続き、A子さんの開示請求バトルを中継する。 「書き込み主特定の足掛かりとなるのが、掲示板に残されたIPアドレスでした。とはいえネット上にそのまま載っているわけではありません。アドレスを手に入れるにはまずはサイトの運営側に対する開示請求を行う必要がありました」 そこでA子さんは20年4月、弁護士の名前を入れた開示依頼を掲示板の運営側の住所へと送付。サイトに対してIPアドレスを教えるよう依頼したのである。 「私の誹謗中傷が書かれていたのは水商売の投稿を主に扱う大手掲示板サイトでしたが、開示依頼を送っても返答はありませんでした。ただ無視されるのは織り込み済みだったので、連絡から約1ヵ月が経った頃、運営者に対してアドレスの開示請求を求める民事訴訟を東京地裁に起こしました。弁護士さんも『こういった掲示板から返答から来る確率は1%程度』と言っていたので慌てることはなかったです。 サイト側は誰も出廷せず、1回の裁判で『本件の誹謗中傷の書き込みは明らかであり、開示を行いなさい』という結審が出ました」
第二ラウンドの幕が開ける
無視を決め込んでいたサイト側も裁判所には抗えず、すぐに判決に応じたという。A子さんの場合、初動が早かったゆえ、書き込みすべてのIPアドレスを入手することに成功。だが、これだけでは投稿主を特定できるわけではない。 「アドレスはあくまでも機器の識別番号に過ぎず、人定までには至りません。今度はスマホやPCを誰が契約しているのかを、それぞれのプロバイダ(事業者)に開示請求する必要があります」 こうして第二ラウンドの火ぶたが切って落とされる。まずA子さんは各プロバイダへIPアドレスの持ち主を明かすよう再び開示を求める書類を弁護士経由で送付。しかし、プロバイダ側の返答は淡泊なものだった。 「返ってきたのは2週間ほど経ってから。答えは『我々は顧客の個人情報を守らないといけない』というものでした。こちらも想定はしていたリアクションだったので、また掲示板の時と同様、各プロバイダに契約主の開示請求を求める民事訴訟を東京地裁に起こしました」 プロバイダは書き込み主らが契約する事業者によって違うため、A子さんが提訴した事業者はNTTなど8つにも及んだという。こちらも1回のみの裁判で、いずれも『開示相当』の判決が下される。書き込み発見からおよそ3ヵ月。ようやくA子さんを苦しめた人物が判明したのである。