「ポケットにスルメを入れてました」。小祝さくら、生涯一度きりのダイエット経験
女子ツアー黄金世代の実力派にして天然キャラクター・小祝さくら。そのゴルフ回路を覗く異色エッセイ。第42話、ポケットにスルメ。ダイエットは生涯一度きり。 小祝さくらのドライバー連続写真はこちら
小祝さくらは、食べることが大好きだ。世の中にもずいぶんと浸透してきた。最終的に9位タイに入り、健闘した全米女子オープンのときも、日々アメリカのステーキを楽しんでいた。 「脂身が多いお肉より赤身が多いお肉のほうが好きなので、アメリカのステーキは美味しかったです。でも、牛タンが食べたくなりましたね」とこの連載のタイトル(週刊誌の本コラムタイトル/ゴルフときどきタン塩)を地で行く嗜好である。さくらは子どもの頃は何を食べていたのだろうか? また、子どもの頃、食べたほうがよいものは? 「うちの家、試合の前日は絶対かつ丼だったんです。だから嫌いでした(笑)。とんかつばかり食事に出てくる印象だったので。あとは、カレーもめっちゃ出てくるイメージがありますね。ジュニアの合宿とかでも、カレーですよね。そうそう、カレーは子どもにいいって言いませんか? 野菜も取れるし、安上がりだし」
そういえば、イチローは試合の朝は必ず〝朝カレー〟を食べていたと話を向けると、「へえ、よくわかりませんけど、私は一時、かなりスルメにはまっていたんですよ」と摩訶不思議な答えが返ってきた。 「中学生くらいのとき、その辺のお店で売っているスルメを食べまくっていましたね。ラウンド中の補食としてもずっとスルメを食べていて。ポケットにスルメが入っていました。(同じ札幌出身の)藤田光里ちゃんなんかに、『スルメ、いります?』って、ポケットから出して(笑)」 まるで酒飲みのオヤジのようだ。「そうしたら、断られたんですよ(笑)。ビニールにもくるまず、そのままポケットに入っていて、ずっとスルメを食べていたんです」。ウェアは臭くならなかったのだろうか。 「そういうの、気にしていなかったですね(笑)。ジュニアのときは、ゴルフ場に着いて40分くらい走るのに、家からクロックスのサンダルを履いてきて、ゴルフシューズを忘れてきたり、ラウンドが終わって家に着いたら、ゴルフバッグを積み忘れてコースに置いてきたり……けっこうありましたね。あ、いまだにときどきありますね(笑)」と、〝素〟のさくらを飾らず話してくれる。そんなさくらがみんな好きだ。 「スルメは、中学で人生初ダイエットをしていたから食べていたんです。スルメダイエット。お昼は寒天ゼリーを食べて、朝と夜ごはん以外はスルメしか食べない。でも、これが人生最初で最後のダイエットです」 小祝さくらはそれ以来、ダイエットなんてしない。自分なりに栄養バランスを考え、3食きちんと、美味しいものを美味しくいただく。これが全米女子オープン前後にも試合に出続ける〝鉄人さくら〟の源なのだ。今日もさくらは日本中で、美味しいものを探し求めて、楽しんでいるのだ。 ※週刊ゴルフダイジェスト2024年7月2日号より(PHOTO/Shinji Osawa、Tadashi Anezaki)
週刊ゴルフダイジェスト