アームと競合するサイファイブ、今年はライセンス収入急増見込む
(ブルームバーグ): ソフトバンクグループ傘下の英半導体設計会社、アーム・ホールディングスと競合するスタートアップ企業サイファイブ(SiFive)は今年、1億8000万ドル(約270億円)以上のライフタイムロイヤルティー契約を結び、ライセンス収入が6000万ドルに増えると予想している。
ブルームバーグ・ニュースが確認した資料によると、株式非公開のサイファイブは2023年の売上高が3820万ドルで、1億8600万ドル規模のライフタイム契約を締結。ただ、営業費用が1億4890万ドルに達したことで、1億1310万ドルの営業純損失に見舞われたという。
アームと同様、サイファイブも売り上げの大半をライセンスとロイヤルティーの契約から得ている。ライセンス契約では、顧客は半導体の設計図やその他の技術にアクセスするために対価を支払う。これらの設計を実際の製品にした場合、顧客はロイヤルティーという形で支払いを行う。
サイファイブは自社の設計をテクノロジー業界に一段と浸透させる上で厳しい戦いに直面しているものの、こうした数字は有望な成長軌道を示す。同社は人工知能(AI)サーバー向けの第2世代半導体によってさらに売り上げが伸びると見込んでおり、その予想数字は控えめなものかもしれない。カリフォルニア州サンマテオに拠点を置くサイファイブの広報担当者はコメントを控えた。
アームに代わる
スマートフォン用半導体メーカーで世界最大手の米クアルコムの元幹部パトリック・リトル氏率いるサイファイブは、AI、自動車、コンピューティング顧客向けにさまざまな半導体設計を提供し、アームに代わる企業に名乗りを上げる。サイファイブが依存するのはリスクファイブ(RISC-V)と呼ばれるオープン標準の命令セットアーキテクチャ(ISA)で、技術をより安価で身近なものにすることを目的としている。
RISC-Vのキープレーヤーとなることで、サイファイブはアームおよび米半導体メーカー、インテルと対立する構図となっている。インテルはx86(エックスハチロク)ISAを使用。ただインテルはサイファイブに出資しており、ヘッジの試みも行っている。アームの大口顧客のクアルコムもサイファイブを支援する。