生かしきれない観光資源、振興策は 福知山市長選を前に・下
■「もったいない」と住民が奮起
この状況を見て、「立派な施設なのにもったいない。活用しないのは大きな損失だ」と奮起する地元住民たちがいる。大雲一畳市の実行委員長(74)は大雲記念館の観光資源としての魅力を確信し、「茶室を生かしたお茶会や着物の着付けができる体験型観光ツアーを企画し、舞鶴湾に入港した豪華客船の外国人を呼び込みたい」と構想を膨らませる。 「大江町は自然がきれいで田舎の良さがあり、大雲の里のほかにも、大江山の鬼伝説や雲海、元伊勢三社、和紙伝承館など観光資源がたくさんある」とまちの魅力を語る迫田さん。ただ23年の大江地域への観光入込客数は9万人と、コロナ流行前の16万人(18年)の6割にとどまる。
■観光と地域づくり 両輪の成長を
海の京都DMOの観光地域づくり戦略改定委員会で座長を務めた福知山公立大学の杉岡秀紀准教授は、「観光のプロではない行政職員が担当に就くことが多いため、観光施設は基本、行政の直営よりも、公民連携や、民間主導の仕組みをいかに作って行政が下支えするかというのがポイント」と話す。加えて、「キーワードは『観光地としての成長と地域づくりとしての成長の両輪』。良い資源がありながら、結果につながらないのは仕組みの問題かもしれない。まだまだやれることはあるのでは」という。 あしぎぬ大雲の里のように、日の目を見ない潜在的な観光資源は福知山市内にほかにもある。そういった資源の魅力をどのように引き出し、活性化を図っていくのか、観光客を呼び込む別の方法があるのか。今後のまちづくりの課題としても市の観光戦略のあり方が問われる。 市長選は6月2日告示、9日投開票。