父が亡くなり1人になった無職の母がいます。扶養に入れると、税金は安くなりますか?
親を扶養に入れた場合の節税効果
扶養控除の金額は親の年齢と同居・別居の区分で異なります。 【図表1】親を扶養に入れる場合の所得控除の金額
【図表2】親を扶養に入れたときの節税効果
Aさんの母親は70歳以上で、別居なので控除額は48万円です。また、Aさんの源泉徴収票を確認したところ、課税所得の金額は560万円でした。所得税率は20%なので、節税効果は9万6000円です。この9万6000円を母親への仕送りの一部にすれば、実際より少ない負担で親孝行できるとも考えられますね。
親を税法上の扶養に入れる手続き
会社員が親を税法上の扶養に入れる手続きは、年末調整で行います。「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に親の名前、マイナンバー等を記入して提出します。会社から「生計を一にしている」証明を求められるかもしれませんから、振込時の書類などを準備しておきましょう。 個人事業主の場合は、確定申告の際に親を扶養親族として申告します。扶養家族であるかどうかは年末の時点で判断されますので、父親が亡くなった年でも、すでに仕送りを始めているのであれば、扶養家族として認められます。
まとめ
父親が亡くなって母親がひとり暮らしになったとき、経済的な支援をしてあげたいと思う気持ちはよく分かりますし、それによって節税効果が得られるので、一石二鳥ともいえるでしょう。ただ、扶養に入れるのであれば、経済的支援は長い期間、ずっと続けられる見込みがなければなりません。 まだ子どもの教育費がかかるのではないか、住宅ローン返済はどのくらい残っているのか、自分の老後資金は貯められそうか、親がどのくらいの経済的援助を必要としているかなどをしっかり検討して、無理のない支援で親を支えていくことが重要です。 出典 国税庁 No.1180 扶養控除 国税庁 No.2260 所得税の税率 執筆者:蟹山淳子 CFP(R)認定者
ファイナンシャルフィールド編集部