深夜のバラエティー番組は、ゴールデン進出でつまらなくなる!?
各テレビ局がこの春からの番組改編を発表した。 好視聴率をキープする三冠王の日本テレビを意識して、ほかのライバル局は大幅な改編に着手している。 そんな中、独自の路線で近年話題の番組を発信し続けているテレビ東京が現在、毎週土曜日の深夜帯にレギュラー放送しているバラエティー番組「家、ついて行ってイイですか?」(午後11時55分~)のゴールデンタイム(土曜日・午後7時54~)進出を発表した。 同番組は、終電を逃した人に街で声を掛けて、タクシー代を出す代わりに取材ディレクターが自宅までついて行くというドキュメンタリータッチの内容で、毎回登場する人物のそれぞれの意外な人間ドラマを浮き彫りにする人気番組。 「平成27年日本民間放送連盟賞」のテレビエンターテインメント部門で最優秀賞を受賞したこともゴールデン昇格に弾みをつけた。
『家、ついて行ってイイですか?』はなぜ支持されるのか?
深夜からゴールデンに昇格する同番組は、なぜ好評なのか? ベテランのテレビ雑誌記者は語る。 「テレビがつまらくなったと言われる原因の一つとして“ヤラセ”の問題が大きい。いわゆる仕込みの素人を使い、制作サイドの思惑通りにストーリーを展開していく都合のよい番組作りは、いまの視聴者には簡単に見抜かれてしまいます。あの番組は、完全な素人を“ガチンコ”で取材するということで、見た目からは想像もつかないその人の意外な人生模様や内面が徐々に垣間見えてくるところが面白い。生活感があふれた散らかった部屋などに、よりリアリティーを感じるところも支持される理由でしょう」
深夜からゴールデン進出は企画が変わり、つまらなくなる!?
深夜番組のゴールデンタイムへの進出は予算も大幅に増えて、世間の認知度もそれまで以上になることが予想されるため、出演者も制作スタッフにとっては喜ばしいことだと思われがちだが、じつはそうでもない部分もあるという。 芸能評論家の市川大介氏は言う。 「もちろんゴールデン昇格で、成功した番組も多々ありますが、時間帯が移行するゆえ、失敗することも多い。さらに、ゴールデンタイムでは幅広い世代に支持してもらうため、企画が徐々に変更され、最終的に番組の趣旨がまったく変わってしまうことも。深夜ならではのマニアックな点が評価を受けていた番組などはこのパターンにハマってしまい、従来支持していた視聴者層まで離れていってしまうこともあります。また、番組の制作予算が潤沢になったぶん、司会に大物芸能人、出演者にもそれなりに名の通ったタレントを起用もできる反面、それが裏目に出るケースもある。演者だけでなく、スタッフサイドに関しても、ゴールデン進出のタイミングで売れっ子のディレクターや作家が投入され、それまで深夜で頑張ってきた出演者やスタッフとしては面白くないという感情が生まれることもあります」 実際、過去には深夜からゴールデンに進出したフジテレビ系『オモクリ監督』では出演者の一人の千原ジュニアが、時間帯の変更に対して「そっとしておいてほしかった」とコメント。 また、出演者のバカリズムも、「面白い番組だけど、決してゴールデン向きではない気がするので、うれしい半面ビックリしています。というか不安です」と素直な気持ちを吐露した。