秘密は「人選」にもあった! テレビ東京「カンブリア宮殿」が放送開始から18年経っても色褪せない納得の理由
鈴木氏は『カンブリア』に登場する企業や経営者には、2つの共通点があると語る。 「ひとつは『絶対に失敗するからやめておけ』と困難が予想される分野や、誰もやっていないジャンルに挑んで成功を収めた企業や経営者が多いんですよ。数々の高い障壁と修羅場を乗り越えたからこそ、非常に大きな成果を出しているようにと感じます。 もうひとつは近年、社員を大事にするタイプの経営者が増えているんです。会社の大小を問わず成果を出している経営者は現場で直接、社員と向き合って話を聞いて、同じ方向で目標を共有しながら経営をされている印象です」(鈴木氏)
ちなみにこれまで『カンブリア』に登場した経営者の中で印象に残っている言葉は、ウォルト・ディズニー・カンパニーCEOのロバート・A・アイガー氏の「過去は敬うが、崇拝はしない」だという。さまざまな利害や歴史が存在する組織の中で見出した仕事の極意が、そこから見えてくるのだという。 ■「視聴者はいったい何を知りたがっているのか」 『カンブリア』といえば、美術監督の種田陽平さんが手掛ける豪華で壮大なセットも目をひく。遺跡のような初代セットから始まり、現在は未来感あるホテルラウンジ風の4代目セットに進化を遂げた。このセットにも他のトーク番組と一線を画す番組サイドのこだわりがある。
「演出の一環として豪華で壮大な空間のセットで収録を行うことで、特別感を視聴者にも感じてほしいと思っているんです。ゲストとして出演していただく経営者へのリスペクトの思いも込めています」(鈴木氏) ひとりの人物に密着するテレビ番組の場合は、撮影が短時間では終わらず、長期密着になるケースも多い。では実際にどのようにして番組制作は行われているのだろうか? 「取り上げる企業や経営者によってバラツキがありますが、実際に企業に打診して接触して、リサーチをして、取材を開始してから完成までの平均を取ると1回放送分で大体、3~4カ月くらいかけています。