老いも不調も、言葉と視点を変えればすべてポジティブに 91歳の“伝説の国語教師”が教えるノーストレスな生き方の極意
青森県弘前市の名物教師・佐藤きむ(読みは「きん」)さん。40年を超える教師生活を続けたきむさんは現在91歳となり、マイペースに日々の楽しみと向き合っています。 骨折による入院、不自由な足。老い。通常ならネガティブに受け止められがちなワードをきむさんは、「楽しい」「面白い」と言い換えるきむさんに、日々を楽しむヒントや国語の含蓄が垣間見えるさまざまなエピソードをうかがいました。
【佐藤きむ KIN SATO】 文筆家 1932年弘前市生まれ。 弘前大学教育学部卒業後、弘前大学附属中学校などで教壇に立ち、母校の助教授となる。 その後、弘前大・弘前学院大などの非常勤講師を経て文筆家に。 日本エッセイスト・クラブ会員。 著書に『おッ!見えた、目ん玉が!- 八十路の入院体験記-』(津軽書房)など、訳書に『福沢諭吉「学問のすすめ」ビギナーズ 日本の思想』『福翁百話 福澤諭吉』(ともに角川ソフィア文庫)がある。
入院生活を楽しんだ84歳。病院でも“褒めスキル”を発揮
きむさんは2016年の暮れに路上で転倒し、右大腿骨転子部を骨折。治療のために52日間の入院生活を送りました。 この顛末をユーモラスにつづった著書『おッ!見えた、目ん玉が!-八十路の入院体験記-』は、病室のベッドでの就寝と目覚めと「枕草子」を絡めたり、消灯時に看護師らが患者にかける言葉の差異から日本語のあり方を思ったりと、ユニークなエッセイが21編収載されています。 佐藤「1日に3度、米のご飯を食べたというのは、あの入院していた52日間だけなの。前にも後にもない。たいてい1食は麺類を食べたり、パンを食べたり、日に3回ご飯を食べる時があったとしても、長く続くことはなかった。 希望すればパンでも麺類でも出てくることを知らなくて、だからご飯を食べてたんだけど、ご飯が割とおいしかったのね。やっぱり大きい釜でいっぱい炊いたほうがおいしくできるんじゃないかしら。 入院食には、メニューが書かれた紙が付いてきていて。そのメニューの余白に毎回、一言コメント書いて返していたの。同じことを書かないで何回書けるか試してみようと思って。そしたら最後までできました」