大空幸星氏「“児童労働”と叫ぶほど親が問題隠す」 ヤングケアラー支援にキャンプが物議 望ましい対策は?
元経産省キャリア官僚で制度アナリストの宇佐美典也氏は「反発を浴びているのは、子育て世帯の生活感になじんだ政策ではなく、キャンプというものが突然出てきたから。学校に行けば“あの子の家は事情がありそうだ”というのは大体わかるが、今の時代は気を遣うところが多すぎてそこに踏み込めない。誰々がリーチして、事情を把握し、このメニューで行きましょう、という流れならわかる。メニューだけ先に用意しても、その上で動く人が本当にいるのかが見えない」と指摘した。
■一人ひとり異なる状況、必要な支援は
現状、ヤングケアラーの法律上の定義はなく、今国会で議論されている。「過程の介護その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子ども・若者」というのがこども家庭庁案だ。 大空氏は「見えている景色が、当事者と元当事者、支援者、国会議員それぞれみんな違う。そうなると、“ヤングケアラー”という言葉1つで属性を作るのは難しい。また、村田さんのような方がいれば、ケアが当たり前だと思っている人もいるなど幅広いレイヤーがある中で、定義しないことによって幅広く救うことができるという考え方も成り立つ」とコメント。 また、支援については、「学校で寝ている子の家庭に問題があるのか、全件わからないのが現実だ。本来は全数調査をやらないといけない。地域包括支援センターの仕組みの中で、例えばケアマネージャーがすでに家庭に入っていたり、民生委員を活用する方針に一応なっている。とはいえ、民生委員も60歳以上の人が9割で、本当に家庭に入って子どもたちのケアができるのか。日本は福祉がすばらしい一方でそこはまだ不十分であり、メニューが非常にふわふわしているという、2つの課題がある」とした。
一方、牧山議員は「今改善すべきは窓口の問題。虐待は悪いとわかっているが、ヤングケアラーの定義は正式に決まっていない。そこは根本的に問題が違っていて、同じ所に行ってしまうと偏見を持つ人もいる。窓口を分けるのは大事だと思う」との考えを示す。 村田氏は「問題は分けるべきだが、ポイントが違うと思う。私も相談に行ったが、相談員の方は親の味方ばかりで子どものほうを見てくれない。家庭問題と子どもの人権が一緒くたにされて、家庭のほうを向かなければいけないのではないか。窓口というよりも、119番みたいに通報すれば専門家が来て対処してくれるような、“ここに連絡すれば何とかなる”というものを子どもに1カ所作ること。これが大きな安心につながるし、子どもも言いやすくなると思う。もしくは、親の許可なく家の外に行ける権利があれば、私自身は助かったと思う」と訴えた。