徳地中生徒が〝古里〟百人一首 歴史や自然を題材に地元有志らと協力【山口】
「古来より 徳地の民の生活を 支える背骨 佐波の大河」。徳地中(岩井康浩校長)の生徒たちが地元有志らでつくる徳地まるごと百人一首実行委員会(友景太一代表)と協力し、地域の歴史や自然を題材にした百人一首作りに取り組んでいる。3年計画で計120首を制作し、地域の魅力を伝えていく。 昨年まで山口市徳地地域で集落支援員をしていた市原茂さん(83)=大内=が、地元の若い世代に地域の特長や見どころを伝えようと着想。徳地史談会の山田文雄会長へ相談し、同実行委を立ち上げた。 6月から総合的な学習として、実行委のメンバー5人が中心となって指導。3年生40人が徳地を出雲、島地、八坂、串、柚野の5地区に分けて史跡や風習をテーマとした短歌作りを始めた。地元住民への聞き取りやインターネットでの調査を基に、柚野の大原湖や愛鳥林、出雲の佐波川といった自然、島地の花尾八幡宮や串の法光寺などの史跡、名産品のカワラケツメイ茶とヤマノイモを詠んだ力作40首を作り上げた。 10月から1~3年の縦割り班で句に合わせた絵を描いて完成させ、文化祭で披露した。中山三鈴さん(3年)は、1956年に水害対策として建てられたダム建設時に多くの家が移転を余儀なくされた史実を基に「三〇〇戸 幸せ願い 立ち退いて 水害無くなる 大原のダム」と詠んだ。文化祭では、当時立ち退いた人から忘れられつつある歴史に光を当ててくれたことへ感謝されたという。 賀屋琉一朗君(同)は「知らない地域のことを学べてよかった。すべて完成するのが楽しみ」と笑顔。担当教員の岩本浩幸先生(31)は「生徒たちが地域の知らないことに触れて、徳地の良さを知って愛郷心を育むことができた」と成果を喜んだ。 6年半前から徳地と関わるようになり、知れば知るほど魅力的だという市原さんは「当初は、生徒たちが地域のことをあまり知らないし、短歌も詠んだことがないからうまくいくか不安だったが、柔軟な発想に驚かされた」と話していた。 今年の40首は、3年生の卒業までに読み札と取り札を作成する。今後の2年間でその年の3年生が短歌を作っていく。