“このタイトルなら、こうだよね!”を、観せてくれる映画『侍タイムスリッパー』、コメディなのに涙が止まらなかった!
【黒田勇樹のハイパーメディア鑑賞記】
幕末の侍が、雷に打たれてタイムスリップして、京都の太秦の撮影所(時代劇撮影の名門)に、たどり着き、斬られ役俳優として新しい人生に進んでいくというストーリー。 映画『侍タイムスリッパー』【予告動画】 あらすじ、ざっくりまとめてみましたが、まさにタイトルそのまんまなんです。 「侍がタイムスリップしたら、そうなるよなー」という物語が、面白おかしく丁寧に描かれていきます。 あまり内容以外のバックボーンやビジネスのことは書かないようにしているのですが、今回は許して下さい。 「こりゃ、売れるわ!」 知らないおっさん(筆者は存じてましたが、記事的にこう表現することをお許し下さい!)が主演で、インディペンデントだったのに、単館公開からの全国展開! 「第2のカメとめ」と、呼ばれるのも納得です。 時代劇って、衣装やかつら、刀など、現代劇みたいに「私服でお願いします」みたいな節約もできないので、とても予算のかかるパッケージなのですが、それをインデペンデントでやる勇気。 しかし、作品を見進めていくと「ああ、これが伝えたかったんだな」という、メッセージがガツンと胸に飛び込んできます。 “侍"、“幕末がどういう世であったのか”、“俳優”、“斬られ役”、“撮影所"、"映画スタッフ"、そして"時代劇"。 「戦争モノと時代劇は、若者に需要がないし、金ばっかかかって、そろそろ知っている人がいなくなるから撮れなくなるだろうな」と、いう声がそこかしこから聞こえてくる中、それに真っ向から斬りかかった“時代劇愛”が、この作品の本当のテーマだと思います。 それを、感じて筆者は、自身も沢山お世話になった撮影所の物語に、前半から涙が止まりませんでした。 ただ、単純にコメディとして本当に面白いので、全世代、老若男女、遊びに行くつもりで観に行くといいと思います。 前回、記事にした『八犬伝』や「東映時代劇復活!」みたいに謳っている『十一人の賊軍』など、時代劇ブームの足音が聞こえる気がします。