「時計の針を巻き戻して再生の道に進みたい」破産手続き中の船井電機前社長 親会社への民事再生法の適用申請
破産手続き中の船井電機をめぐり、8日付で親会社への民事再生法の適用を東京地裁に申請した上田智一前社長(51)。船井電機の破産手続きが始まっていることについては「全く予想しなかったことが起きている」として、「時計の針を巻き戻して再生の道に進みたい」と意気込みを語りました。
9日、報道関係者の前に姿を現した船井電機・上田智一前社長。破産手続き中の船井電機の親会社「FUNAI GROUP」について、8日付で東京地裁に民事再生法の適用を申請したことを明らかにし、従業員への謝罪と再生への決意を口にしました。 「従業員のみなさんにはご迷惑をおかけし、本当に申し訳なかったと思っています。とにかくなんとか元の道に戻したいと思っていますので、お力添えよろしくお願いいたします」 申立書によりますと「グループ全体では約200億円の資産超過であり、組織のスリム化により適切に利益を出せる形で作っていくことは十分可能」としています。上田前社長は、社長を退任する直前の去年9月に、船井電機の親会社の経営権を持つ会社の株式を1円で東京の企業に譲渡していますが、この契約に違反があったとして去年12月20日、株式譲渡などを禁止する保全命令の仮処分を東京地裁に申し立て、7日後に保全命令の決定が出たことも明らかにしました。上田前社長の代理人を務める加藤博太郎弁護士は、譲渡した際の前提がほごにされたと指摘しています。 「船井電機をしっかり経営していくという前提で株式を譲渡した。ところが即日にさらに別の会社に譲渡され、結果的に混乱して破産になってしまった。上田社長が退任したときには全く予想しなかったことが起きている。上田社長としては時計の針を戻して再生に取り組む。そこを先頭切ってやっていきたい」 上田前社長側は譲渡先の関係者5人について、「詐欺容疑で大阪府警に相談している」としています。
液晶テレビで「世界のFUNAI」に
1961年、ミシンの卸売業を営んでいた船井哲良氏が創業した船井電機。1990年代に入り、テレビとビデオが合体した「テレビデオ」で一世を風靡すると、2000年代には「液晶テレビ」の生産を開始しました。“高機能ではないが低価格で品質は悪くない”そんな特性が支持され、北米でトップシェアを獲得するなど、「世界のFUNAI」として一時代を築きました。