「時計の針を巻き戻して再生の道に進みたい」破産手続き中の船井電機前社長 親会社への民事再生法の適用申請
破産手続き開始に至った経緯
しかし、その後は、中国企業などとの価格競争に敗れ業績は悪化の一途に。哲良氏が亡くなると創業家は外部の経営者に立て直しを託します。白羽の矢が立ったのがコンサルタント会社出身で、東京の出版会社「秀和システム」の社長を務める上田前社長でした。上田前社長は、大手・脱毛サロンを買収するなど事業の多角化を進めますが、去年9月に退任。そして、去年10月、創業者の親族で取締役の男性が、取締役会の決議を経ずに単独でできる「準自己破産」を申し立て、東京地裁がその日のうちに破産開始を決定する異例の展開になりました。船井電機で働いていた500人以上の社員は突如、職を失いました。破産の申立書などによりますと、本業の赤字に加えて巨額の資金流出があり、船井電機の債務超過は117億円に上るとされています。
船井電機の破産は止められるのか
ところが、この破産手続きに「待った」をかけたのが、去年9月に船井電機の会長に就任したという元環境大臣の原田義昭氏でした。去年11月、MBSの単独取材に応じた原田氏。破産手続きの開始には驚きを隠せない様子でした。 「(準自己破産に)びっくりしたのは事実。破産という形で、この名門の船井電機を終わらせるわけには絶対にいかない」 原田氏は、手続き開始決定の取り消しを求めて東京高裁に即時抗告していましたが、去年12月26日付で抗告の申し立てを却下されました。却下した理由について、東京高裁は原田氏の立場に触れ、「9月27日の株主総会議事録では、原田氏が船井電機の取締役の地位にあることに疑義があることは否定し難い」としています。船井電機は現在、破産に向けて手続きが進められています。