【1500軒以上を片づけたプロが教える】親が認知症になったとき、後悔することNo1
「早くやらなければ!」とわかってるのに、ついつい先延ばしにしがちな「実家片づけ」は、“親が元気なうちに取り組むことが何よりも大切”というのは、最新刊『「介護」「看取り」「相続」の不安が消える! 実家片づけ』を出版した、片づけアドバイザーの石阪京子氏。実家に溢れるモノを整理し、お金を把握することで、親子ともに幸せになれるそのノウハウを、本書から抜粋・編集してお伝えします。 ● 実家片づけの本丸は、モノよりも「紙の片づけ」 本書の第3章でもお話ししましたが、実家片づけのゴールは「モノの片づけ」と「紙の片づけ」を両方終えること。特に、後々のお金に関するトラブルや悲劇は往々にして「金目の紙」=財産にかかわる書類が整理されていなかったことによって起こります。 「モノ」は多少散らかっていても後でどうにかなりますが、紙はご両親が認知症になったりしてからではどうにもならない。重要な財産の書類がどこにあるかもわからなくなったり、財産を動かすこともできなくなったりしてしまいます。もっと早くにやっておけば…と後悔する人は後を絶ちません。 だからこそ、「紙片づけ」は、子どもにとっての本丸なのです。 ● 紙を片づけるのは難しい とはいえ、「紙片づけ」はモノよりも難度が高いといっていいでしょう。 手紙、税金の書類、契約書、チラシなど。見た目はどれも同じ紙なので、パッと見ただけでは捨てていいのか、とっておくべきなのか判断するのが難しいからです。 実は、布団1枚捨てるより、紙を1枚捨てるほうが難しいです。見た目や好き嫌い、使用頻度などで要・不要を判断できないからです。 そのため、「とりあえずとっておこう」となり、大事な紙と、そうでない紙が入り交じっているご家庭がたくさんあります。特に、高齢の方はご自身の記憶力に自信がないため、「とりあえずとっておこう」の傾向が強くなりがち。 ところが、とりあえずレターケースに入れたり、吊り下げ収納につっこんだり、押し入れの隙間に入れたりしただけで管理ができていないから、肝心なときに大事な紙が出てきません。 中でも、財産にかかわる紙はお金そのもの。家のどこかにあるのにいざというとき取り出せず、大損をすることがないよう、仕組みを作りましょう。 ● 実家の親にどう言い出す? 「紙片づけ」を始めるときも、まずは作戦会議でゴールを親御さんと共有することから始めてください。 具体的には、 ・突然、介護が必要になったときのため、年金や保険、資産を把握しておきたい ・相続で困らないように、どこにどんな財産があるかを知り、必要なら相続税対策をしておきたい……など。 モノの片づけより、さらにデリケートな話であるのは事実です。親御さんの中には、自分たちの財産は知られたくないと思っている方もおられます。 そういう親御さんには、もし把握していなければご両親や自分たちがいかに困るかということを伝えましょう。 その際には、本書のP65でお話ししたように、身近な人が大変な目に遭った例を持ち出すのが効果的です。 ● モノが片づいている家なら「紙片づけ」を先にやる なお、本来は、「モノの片づけ」→「紙の片づけ」の順番でやるのが効率的です。 モノが整理されていない家は紙もあちこちに散らばっていることが多いので、重要な紙だけをひっぱり出してくるのが難しいからです。したがってまずはモノを片づけるときに、紙だけを分けておき、あとで「紙片づけ」をするのが速いです。 とはいえ、モノはだいたい片づいているという家や、資産の把握のほうが急務だという場合、「紙片づけ」だけ先にやったほうが安心です。 *本記事は、石阪京子さんの最新刊『「介護」「看取り」「相続」の不安が消える 実家片づけ』から、抜粋・編集したものです。
石阪京子