同率優勝の場合は、プレーオフ導入を!
首位のヤクルトから3位の阪神までのゲーム差が3。混乱のセ・リーグの優勝争いは、最後の最後までもつれそうだが、先日、セ・リーグは、3チームが勝率、勝利数、対戦勝率で、すべて並んだ場合の優勝決定に関するアグリートメントを急きょ追加決定した。 これまで2球団が勝率で並んだ場合、次に勝利数を比べ、そこも並んだ場合は、当該球団間の対戦勝率で決め、それも同じだった場合は前年度の順位で優勝球団を決める規則だった。だが、3球団が並んだ場合に関しては、勝率、勝利数、当該球団間の対戦勝率までの規定しかなく、まれにみる混セで、3球団が、勝率、勝利数、当該球団同士の対戦勝率まで並ぶ可能性も考えられるため、その場合2球団のケースと同じく、最終的には、前年度の順位で決めることになった。 ちなみに昨年のリーグ順位は、優勝が巨人、2位が阪神、3位が広島。まさかの追加アグリーメントが適用されるような展開になると、巨人が最も有利ということになる。 ただ、最終的に前年度の順位で決めるという規定については、2球団のケースと同様、「今季のペナントレースの戦い方とは無関係。昨年、負けたチームが雪辱を誓ってオフの補強を含めて優勝を目指して戦ってきたのに、最後が、昨年の成績で決めるというのはナンセンスだ」という議論がある。 巨人OBで、元ヤクルト、西武監督の広岡達朗氏も、「リーグ優勝が最も価値のあるもの。そもそもクライマックスシリーズも不要だ。並んだ場合、リーグ優勝を昨年の順位で決めるというのもいかがなものか」と、疑問符を投げかけている。 実際、アグリーメントの追加決定を行った会議でも、最終的に前年度順位で決める手法について問題視する議論もされていて、メジャーリーグで導入されているような「優勝決定プレーオフ」導入のプランも出ていたという。 ある球界関係者が、そのあたりの事情を説明する。 「勝率、勝敗数で並んだ時点で、本来ならばメジャーのように1試合の優勝決定プレーオフを行うべきでしょう。ただ物理的に無理なんです。日程の問題です。クライマックスシリーズ、日本シリーズだけでなく、今季は、プレミア12もあります。ポストシーズンマッチの日程を動かすことが不可能で、3日ほどしか余裕がなく、プレーオフを日程的に組み入れることが難しいんです。 ただ、一部の球団からは、2球団のケースのアグリーメントを決める段階から、1試合の優勝決定プレーオフを導入してはどうかという根強い意見はあります。今年、最終的にどうなるかですが、もし前年度の順位で決めるようなことにでもなれば、予め1試合の優勝決定プレーオフを考えた上で、日程を組むような方向性に変わる可能性はあります」 最終的には、前年度の順位で優勝が決められてしまうという奇妙なアグリーメントの採用理由が、過密日程にあるとは、なんとも官僚的なNPB体質の象徴とも言えないことはないが、そういう不幸な決着にならないことを祈るしかない。アマチュア競技ではないのだ。プロとしてのエンターテイメントを追求するならば、来季以降、「優勝決定プレーオフ」のアグリーメントルールを早急に整えておくべきだろう。