イギリスの新星が語る話題作の裏側「日本の曲がインスピレーションを与えてくれた」
暑い日が続くなか、スカッとした気分になりたい人にオススメの最新作といえば型破りの青春バトル・アクション『ポライト・ソサエティ』。そこで、主演に抜擢されたこちらのかたにお話をうかがってきました。 プリヤ・カンサラさん 【映画、ときどき私】 vol. 653 スタントウーマンを夢見る女子高生のリアを演じ、長編映画初出演にして初主演を務めたイギリス出身のプリヤさん。劇中では、愛する姉を“陰謀の結婚”から救い出そうと奮闘する姿が描かれています。そこで、初挑戦となったアクションシーンの裏側や日本でハマっているもの、そして夢を叶える秘訣などについて語っていただきました。 ―今回はオーディションで選ばれたそうですが、出演したいと思った理由は? プリヤさん 実は、前はほかの仕事をしていて、俳優一本でやっていこうと決めてからまだ3年ほどしか経っていません。キャリアの初めというのは自分で作品を選べることが少ないので、本作もたくさん受けていたオーディションのひとつでした。 ただ、「南アジアの女の子を主人公にした物語がやっとできたんだ!」という喜びとユーモア満載でクレイジーな脚本には惚れ込んでいたので、どんな形でもこの作品には関わりたいという気持ちは大きかったです。もともとは別の役でオーディションを受けていたのですが、監督から「リアの役でもう一度受けてほしい」と言われて、その1週間後に合格をいただきました。 トライしなかったことを後悔したくなかった ―ちなみに、以前はどんなお仕事をされていたのでしょうか。 プリヤさん 製薬会社でヘルスケアのコミュニケーションに関わるような部署に務めていました。とはいえ、就職してからも「俳優になりたい」とは思っていたんです。でも、どうやったらなれるのかわからなかったので、朝9時から夕方6時まで働いたあと、演技のレッスンを受けていました。 そんな生活を続けていくなかで、本気でやるのであればこのままではいけないなと。俳優の道に絞って集中しようと決めて仕事を辞めたところ、ありがたいことにわりと早い段階で本作の出演が決まりました。 ―ananweb読者はプリヤさんと同世代ですが、やりたいことがあってもなかなか新たな一歩を踏み出せない人も多くいます。そのときに後押しとなったのは何ですか? プリヤさん 確かに何かを選択するというのは、難しいことですよね。実際、私自身も「幸福になるためには安定した仕事が必要」というふうに育てられてきましたから。でも、心のなかで「それは真実ではない」とずっと思っていたような気がしています。 最終的に動くことができたのはトライして失敗する恐怖よりも、トライしなかったことを後悔する恐怖心のほうが勝ったからです。60歳になったとき、チャレンジしなかったことを誰かのせいにしたくなかったですし、そのときには時間も取り戻せません。であれば、いま挑戦してみようと考えて、決断しました。 毎日ジェットコースターに乗っているような感覚だった ―素晴らしいですね。映画を観たときにプリヤさんを10代後半だと思っていたので、現在28歳で撮影中は25歳だったと聞いて驚いています。周りからも大きな反響があったのでは? プリヤさん そうなんですよ。映画を観終わったあと、「10代ではありません」と伝えるとみなさんショックを受けている感じでした (笑) 。でも、私としてはまた少女時代を演じられるのはすごく楽しかったですし、これこそ役者の特権ですよね。 ―演じるうえで心がけたこともありましたか? プリヤさん 童心に帰るというか、ティーンエイジャーならではの好奇心を思い出しながら演じていました。あとは、実際の自分たちよりも賢いつもりでいるところが10代の子にはあるので、大人からするとバカだなと感じることを考えてみたりもしましたね。ほかには姿勢の悪さや勉強する気配がないところなども意識しています。 ―本作で見どころといえば、何と言ってもキレキレのアクション。驚くことに未経験の状態から体を鍛え上げ、540度の回転回し蹴りまで習得したそうですね。 プリヤさん キャスティングが決まってから撮影に入るまで、実は2か月もありませんでした。とりあえず、すぐにファイトコーディネーターがすべてのファイトシークエンスを教えてくれたのですが、それぞれ異なるマーシャルアーツが採用されていたのでそれが大変だったかなと。 武術やワイヤーアクションも初めてでしたが、私としてはダンスの振り付けをひとつずつ覚えているような感覚だったので、どれも興味深くて楽しかったです。まるでジェットコースターに乗っているような毎日でした。 アクションは失敗の連続でひたすら練習した ―とはいえ、その裏で苦労されたこともあったのではないかなと。 プリヤさん たとえば、ワイヤーワークのときにハーネスがお尻に食い込んでくるのは本当にきつかったです (笑) 。回し蹴りに関しては、リアと同じようにずっと失敗続きだったのでひたすら練習。徐々にできるようになっていく様子も、劇中のリアと呼応するようでした。 今回はすべてが新しい経験でしたが、心のなかで考えていたのは「絶対に自分はできるんだ」ということ。そういうメンタルの調整も苦労したところだと思います。 ―ほかにも得意のダンスシーンは素晴らしかったですが、注目してほしい点があれば教えてください。 プリヤさん 今回は『デーヴダース』のダンスシーンからインスピレーションを受けたダンスを取り入れているので、ボリウッドダンスはぜひ楽しんでいただきたいです。それと、リアはダンサーではなくファイターということもあり、『スパイダーマン』や『マトリックス』のようなアクション映画で出てくる動きも振り付けに入っているので、それも探してみてください。 日本文化にリスペクトを払うことは大事だった ―また、劇中では1970年にリリースされた日本の歌謡曲である浅川マキさんの「ちっちゃな時から」も流れるので、日本の観客は気になるところかなと。ご自身はこの曲を聴いてどう思われましたか? プリヤさん 私はとても気に入っています。それに、日本といえばさまざまな武術が生まれた国でもあるので、日本文化に対してリスペクトを払うのはすごく大事なことだと考えていました。私にとってはこの曲もその一部でしたし、監督はじめみんなにインスピレーションを与えてくれた曲だったと感じています。日本のみなさんにも、お楽しみいただけたらうれしいですね。 ―日本にいらっしゃるのは初めてとのことですが、どのような印象ですか? プリヤさん お会いする方々はみんな温かくて、おもてなしの心を持って歓迎してくださるのでとても楽しいですし、感動しています。日本が大好きになったので、また戻ってきたいと考えているところです。 ―事前に楽しみにしていたこともあったのでしょうか。 プリヤさん マストだったのは、お寿司を食べることと、有名な渋谷のスクランブル交差点を見ることでした (笑) 。実際に来てみて驚いたのは、日本のコンビニ。みなさんにとっては普通のことかもしれませんが、コンビニとは思えないほどいろんな素晴らしい食べ物が並んでいるので私にとってはすごく魅力的です。 自分自身を信じて夢を追うきっかけとなってほしい ―ハマっているものはありますか? プリヤさん フルーツサンドですね! 私の住んでいるところでは甘いサンドイッチを見たことがなかったので。あとは、お餅や抹茶のお菓子とかをいろいろと試しているところです。 ―それでは最後に、日本の観客に向けてメッセージをお願いします。 プリヤさん シスターフッドというのは、とても重要なテーマだと私は考えています。姉妹の物語としてだけ見るのではなく、それを女性同士のコミュニティに置き換えて考えていただければ、お互いに支え合い、思い合うことの大切さが伝わるはずです。そうやってエンパワーメントし合える関係性をみなさんにも築いていただけたらと思っています。 そして、ぜひ自分や周りの人たちの夢も応援してほしいので、この作品がみなさんにとって、自分自身を信じて夢を追うきっかけとなったらうれしいです。 インタビューを終えてみて…。 今後ますますの活躍が期待されているプリヤさん。手元の資料に生年月日が記載されておらず、10代だと思い込んでいたため、大人っぽい雰囲気で登場した際には驚かされましたが、太陽のような笑顔に一瞬で魅了されました。劇中で見せる見事なアクションとダンスは必見です。 フルスロットルで駆け抜ける! カンフーあり、ボリウッドダンスあり、青春ありとジャンルを超えた面白さが満載の本作。パワフルな女性たちがあなたの不安な気持ちを吹き飛ばし、夢に向かうための勇気をくれるはずです。 写真・鳥羽田幹太 (プリヤ・カンサラ) 取材、文・志村昌美 ヘアメイク・依田陽子 スタイリング・チバヤスヒロ ドレス 円61,600 (RE SYU RYU) 、イヤリング 参考商品 (MR.R) 、ネックレス 参考商品 (Showkey) 、リング 参考商品 (YUU) 、その他スタイリスト私物 ストーリー ロンドンに暮らし、スタントウーマンになることを夢見る高校生リア。学校では変わり者扱いされ、親からも将来を心配されていた彼女にとって唯一の理解者は、芸術家を志す姉のリーナだけだった。 ところがそんな姉が、富豪の息子であるプレイボーイと恋に落ち、まさかの急展開で彼と結婚。海外へ移住することになったのだが、彼の一族に不信感を抱いたリアは独自に調査を開始する。そして、この結婚の裏にとんでもない陰謀が隠されていることを知ったリアは姉を救うべく、友人たちと結婚式を阻止しようと立ち上がるのだった。 釘付けになる予告編はこちら! 作品情報 『ポライト・ソサエティ』 8月23日 (金) 新宿ピカデリー、グランドシネマサンシャイン 池袋、ヒューマントラストシネマ渋谷 ほかロードショー 配給:トランスフォーマー (C) 2022 Focus Features LLC. All rights reserved.