【車いすラグビー日本代表】カナダカップ2024開幕! パラリンピック前哨戦で日本は白星発進
東京パラリンピックで金メダルを獲得したイギリスは、中心メンバー数名が同大会を最後に引退し、ここ数年はヨーロッパ・チャンピオンの座もフランスに譲っている。 今大会には10名で臨んでいるが、その中で20歳の新星、タイラー・ウォーカーが躍動する。ハイポインター(障がいの比較的軽い選手)のウォーカーは第3ピリオドで起用され、高さを生かしたプレーでイギリス代表に新風を吹かせた。 しかし、日本のチームラグビーは勢いを増す。 その一翼を担ったのが、リオと東京の銅メダルメンバー・若山英史だろう。 「培ってきた経験を若い選手に伝えつつも、若手に負けるつもりはない。持ち味であるプレーの読みの良さという部分を出しつつ、ローポインター(障がいの重い選手)とハイポインターのつなぎ役だったり、若手とベテランのつなぎ役だったり、そういった潤滑剤のような働きができれば、チームとしてより強くなっていけると思う」 若山はその言葉通り、池と池崎のハイポインター陣のトライを演出し、後輩の草場をリードする。 プレータイムこそわずか2分半に留まったが、最後は自らもスコアして、この日最大となる6点差にまでリードを広げた。 その後、パスをカットされるなど、いくつかのターンオーバーを許すも、日本は一度もリードを譲らない。 第4ピリオドを前に、円陣を組むベンチでは、「自信を持ってプレーしよう」と岸ヘッドコーチの声が響いた。 各ラインアップが、任された時間帯でその役割を果たす。全メンバーでつないだ日本は47-44で勝利を収め、初戦を白星で飾った。 キャプテンの池は、「精度の高いディフェンスができて、プラン通りに相手をしっかり抑えられた。今大会では『一貫性を持ってプレーをおこなう』ということがテーマのひとつ。どのラインアップが出ても、ゲームプランに沿って徹底的にやれるかどうか。試合に勝つことだけが、価値のあるものではない。自分たちがやってきたことを出して、また課題を見つけるということも今回の目的。そういう意味では、良いところと悪いところの両方がでた試合だった」と冷静に振り返った。 観客の温かい応援と同時に、パラリンピック本番を見据え、各国チームの鋭い視線がコートに送られる今回のカナダカップ。 大会2日目の6月7日、日本はアメリカ、そしてオーストラリアとの予選ラウンド2試合に臨む。 【カナダカップ2024 車いすラグビー日本代表】 倉橋 香衣 0.5 F 長谷川 勇基 0.5 若山 英史 1.0 小川 仁士 1.0 草場 龍治 1.0 乗松 聖矢 1.5 羽賀 理之 2.0 中町 俊耶 2.0 池 透暢 3.0 池崎 大輔 3.0 島川 慎一 3.0 橋本 勝也 3.5 ※数字は障がいの程度や体幹等の機能によって分けられるクラス(持ち点)。 数字が小さいほど障がいが重いことを意味する。 ※「F」は女性選手。 ※コート上4人の持ち点の合計は8.0以内とルールで定められている。女性選手が入る場合は、女性選手1人につき0.5の加算が許される。 (文/張 理恵)