「日本人だと気付かれないように」 中国・深セン男児死亡 おびえる子ども、苦悩する母「先が見えない」
中国南部の広東省深セン市で18日午前、日本人学校に登校中の男子児童(10)が刃物で刺され死亡した事件は、現地で子育てをする親に大きな不安を与えている。同じ広東省に住み、同年代の子を育てる日本人女性=40代=は「同じ子を持つ親として、被害に遭ったお子さん、そしてご両親のことを思うと胸が痛い」とし、「気を付けながら過ごすしかないが、いつまで続けなければならないのか、先が見えない」と話す。 女性は夫の仕事の関係で現地に暮らしている。事件のことは18日の午前に夫からのメールで知った。6月には中国東部・江蘇省蘇州で日本人学校のスクールバスを待っていた日本人母子が、中国人の男に刃物で切り付けられ、制止しようとした中国人女性が死亡する事件があったばかり。「また起こってしまったと思った。とても怖いし、これから子どもをどう守ればいいのか」と不安を口にする。 中国で暮らす中で、危険な目に遭ったことはなく、「(広東省の)治安は良いと思っていた」と女性。事件を受け、子どももおびえており、「『外へ出かける時は一緒にいようね。離れないようにしてね』と声をかけると『怖いから、そうする』と話していた」と語る。 9月18日は、満州事変の発端となった柳条湖事件(1931年)が起こった日。「今回の事件が日本人を狙ったものかは分からないが」と前置きした上で、「これまでも、中国のSNSをチェックして、反日感情が高ぶりそうな日は外出を控えていた。それでもずっと外に出ないわけにもいかず、ジレンマがある」と言う。今後の対策については「外では大きな声で日本語を話さないようにし、日本人だと気付かれないようにせねば」と述べた。